k-532
孵化した不死鳥にマルゴたちが組んだ炉に火を入れてもらう。炎がなんとも言えない不思議な色合いだ。鑑定してみると【不死鳥の炎】と出た。よし。
獣人の姿になった俺は精神を研ぎ澄ます。これまで行ってきた鍛治仕事のことが頭に浮かぶが、瞑想して呼吸を整え、心をからっぽにする。
横にある神槌を手に取る。神槌は一瞬バチバチと放電したが、すぐに手に馴染んだ。神槌はうっすらと紫電をまとっているが、マルゴたちの腕が吹き飛んだときのように暴れ出す気配はない。
ククノチ様の枝を手にとる。そして不死鳥の炎が燃え盛る炉に入れてみる。続いてシルベストさんの爪を枝の上に置く。しばらく待つ。
すると枝と爪に炎がまとわりつき、融合。そろそろいいか。火箸で灼熱する塊を金床に乗せ槌をふるう。カンカンという音のほかにバチバチという紫電が周囲に迸る。
一心不乱に槌をふるうことしばく、目の前にある塊が神々しい色を帯びた金属の表情となる。美しい。周りで見ていたマルゴやデルムンド氏、鍛治職人たちが感嘆の声を漏らす。俺は神の金属【神鉄オリハルコン】を得た。
俺は目の前にある金属で武具イメージする。獣人の俊敏さを阻害しないもの、突進技に適したもの。丈夫な剣と金属と魔獣の皮を利用した軽鎧。
俺はビードラのテイムホテルの中から魔獣ベヒモスの皮を取り出す。魔獣の皮ならばグラシエス様の牙で書いた聖典のページを鎧の中に縫い付けることができる。聖典のページだけでも体に触れていれば、グラシエス様関連のスキル(グラシエスノヴァ、シールドなど)を発動できるので便利だ。
精錬した【神鉄オリハルコン】と【ベヒモスの皮】、【グラシエス教の聖典のページ】を合わせて軽鎧を組んでいく。試着をしては微調整を繰り返す。その道ではむしろ俺なんかよりもよっぽど熟練しているマルゴやデルムンドたちにも手伝ってもらう。
そうして俺用の【神鉄オリハルコンの軽装防具一式】が出来上がった。
続いて武器の精錬もやってしまう。
俺は残りの神鉄を熱し、刀身を造っていく。丈夫に鋭く、ギデオンの防御を突破できる刃をイメージして一心不乱に槌をふるう。バチバチと放電を繰り返し、神の金属は剣の形となった。柄、鞘、意匠をマルゴとデルムンドが手伝ってくれ、無事【神鉄オリハルコンの剣】は完成した。
剣を握ってみるとすっと手に馴染む。これは今まで使ったどの剣よりもいいものだというのが直感でわかる。
試しにその辺にある岩を軽く切ってみたが、力を全く入れていないのにバターみたいに切れた。やばいわこの剣。
さて次はターニャの分を造らないとだ。
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