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海底神殿アークから帰還した俺は、さっそく神の武具の作成に取り掛かることにした。凄腕鍛治師でもあるデルムンド氏は、当然のように遺跡探索を研究員に任せてほっぽりだし、俺についてきた。
精錬作業はイトシノユリナのアトリエでやることにした。精錬方法は【ククノチの枝】【フェンリルの爪】、これを【不死鳥の炎】で熱して【神槌ミョルニル】叩くというかなりシンプルなもの。
【ククノチの枝】は【グラシエスの牙】に別種類の神の素材ということで置き換え可能だ。ターニャに槌が振れるかなぁなんて思ったけど、よくよく考えたら獣人の大人の姿でやるんだから、力的には問題ないか、と思い直す。
とりあえず俺がやってみて、それからターニャの分のことは考えることにしよう。ターニャにも見学させないといけないな。
どこから聞きつけたのか、ターニャとアッシュを連れたユリナさんだけじゃなく、マルゴとその弟子たちもやってきた。マルゴたちは「鍛治師の端くれとして神鉄の精錬を見ないわけにはいかない!」とのこと。
うーむ。精錬作業は見学者がいると鍛治部屋の中は狭いし、何が起こるかわかったものではないので外の河原でやるか。俺はマルゴたちに鍛治道具を外に運んでもらうことにした。
マルゴたちが作業している間、俺は【不死鳥の炎】を手にいれることにした。テイム関係の有識者であるホワイトさんに来てもらい、不死鳥の卵を暖炉の火にくべてみた。しばらくすると、卵がピキピキと音を立てながら割れ、中から不死鳥の赤ちゃんが顔を出す。つぶらな瞳が非常に愛くるしいな。
それを見ていたターニャは大はしゃぎ。ユリナさんも口に手を当て、目をキラキラさせて不死鳥を見ている。アッシュも不死鳥の赤ちゃんにじゃれつきたそうにしている。
すぐにでも飛び立とうとする不死鳥にホワイトさんは契約魔術をかけ、不死鳥と俺とを結び付けテイミングモンスターにしてくれた。ホワイトさん曰く不死鳥の餌は炎だそうだが、名付けとか諸々は後だ。今は神鉄の精錬が優先。
外に出ると、河原には金床や炉、石炭など諸々の準備をマルゴたち鍛治師集団が整えてくれていた。獣人の姿になった俺は鍛冶場の椅子に腰掛け、テイムホテルから素材と神槌を取り出し台に並べる。ほー、と感嘆の息を漏らす面々。
俺が不死鳥を呼び寄せて、炉に不死鳥の火を入れようと奮闘していると、後ろから盛大な雷鳴と爆発音が轟いた。
「……は?」
何事かと後ろを振り返ると、マルゴとデルムンドの腕が吹っ飛んでおり、台が砕け散っていた。神槌ミョルニルと素材は傷一つついていなかった。
「ケイゴ〜」
「……すまん」
「お前らいい加減にせえよ」
涙目で黒焦げになった腕を差し出す二人に、例のレッドグリズリーのキンタマから作った部位欠損効果のある【エギルの回復ポーション】をかけてやったら、腕が元に戻った。服は焼けこげたままだがな。
「じゃあ、始めますか…」
気を取り直した俺は、未だバチバチと放電を繰り返す神槌ミョルニルを手に取り落ち着かせると、神鉄の精錬に取り掛かることにしたのだった。




