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埃だらけの古びた布を剥ぎとると、中からはポータルと魔核を嵌め込んである台座が出てきた。台座には【知恵の間↔︎アーク】と古代文字が彫りこまれている。どうやらこのポータルを使えばアークへと飛べるようだ。
「なあデルムンド。アーク=冒険王のたどり着いた海底神殿だという確信はあるのか?」
「いや、それらしきものはあったんだけど今解読中でね…、あともうちょっとなんだけど」
ん? それって古代文字の解読ができていないってことか? なら…。
「それ、ちょっと俺に見せてみろ」
俺は先ほどの本棚があった場所に戻り、研究員たちが解読している古文書を読んでみることにした。
すると古文書の文字は言語理解のスキルのおかげかするすると読むことができ、そこには別のフェンリルと契約した勇者の物語が海底神殿アークで神槌を手に入れたと書かれてあった。
「どうやら、アークが冒険王のたどり着いた海底神殿ということで間違いなさそうだぞ。行ってみるか」
「それ本当かい!? 大発見じゃないか!!! うおーーーーーー」
「ワシも同行させてもらうぞ」
「もちろんです。デルムンドは少し落ち着け」
それからバンデッド様、デルムンド氏、その場にいた幾人かの研究員たちとともに、とりあえずの様子見でアーク行きのポータルに乗ってみることになった。
俺は念の為フェンリルのシルベストさんを召喚して合体スキルを発動、獣人の姿になっておく。これなら何かあっても対処できるだろうし、まずそうなら一旦引き返せばいいだろう。
ということで、ポータルのスイッチを押して起動してみる。まず最初に俺が乗ると、ポータルは駆動音とともに青白く発光。眩い光が俺の体を包むと目の前の景色が一変した。
俺は海底神殿アークへと転移したのだった。




