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捜査本部の応接室に移動した俺たちは、シーナさんがリラックスできるようソファーに座らせ事情聴取をすることにした。
この場には捜査本部からジュノの他、ラフィットのことを調べてくれていたサラサ、モンスターに詳しいホワイトさんも同席している。マルゴにはパニックワーム被害の対応の総指揮をしてもらっていて、イトシノユリナの対応が終わり次第レスタへの追加の増援を準備してもらっている。
さて、まずシーナさんがパニックヒュドラワームの出現を事前に警告してくれたということは……。
「今回のパニックワーム騒動はトラキアの意向が絡んでますよね?」
それを聞いたシーナさんは「はい、そのとおりです」と首を縦に振る。トラキアの犯行であることがほぼ確定した瞬間だった。
でも俺は「やっぱり」くらいにしか思わなかった。ラフィットに対しては聖教国での一件依頼ずっと疑念を抱いていたからだ。
「シーナさんは、ラフィットが何をしたくて、我々に危害を加えると思いますか?」
まあ、何となく予想はつく。俺たちはどこにでもある一領にすぎない。狙われるような特殊な事情といえば……。
「ラフィットは聖教国のギデオンとつながりがあるようでして。聖教国への遠征でも、あなた方を罠にハメるようラフィットの側近から指示がありました。今回の事件も根底にある目的は同じことでしょう」
「それはつまり?」
「……勇者と神獣の抹殺です」
彼女は予想通りの答えを口にしたのだった。




