表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

595/617

k-511

 パニックヒュドラワームを倒した後、すぐに被害状況の確認が行われた。結果甚大とまでもいかないまでも、それなりに被害を被っているということがわかった。


 というのも、北門周辺は酪農家さんが丹精込めて作った作物や家畜が飼育されており、避難できた家畜以外はほぼ全てが体液や瘴気でダメになってしまっていた。


 加えてモンスターが消えた後に残った腐って赤黒くなった体液を含んだ土も問題だった。


 土壌表面を鑑定スキルで調べたところ、【汚染土:摂取すると錯乱する毒を含んだ土。育てた作物も同様の成分を含むようになる】と出たのだ。


 つまり戦闘が行われた一帯は体液のしみ込んだ汚染土を一旦取り払い、別の土を敷きなおすなどの処置をしない限り、農耕できない状態となってしまったのだ。


 高位の術師なら広範囲の浄化魔法を使えなくもないらしいのだが、いずれにしても被害は甚大だ。


 門の中まで侵入は許したものの、白兵部隊がギリギリでふんばってくれたおかげで、幸い市民には被害は出ていなかった。


 その分盾となった兵士たちはその限りではないのだが、この程度で済んだのは奇跡に近いと言って良いだろう。


 討伐したパニックヒュドラワームはどの部位も高レベルの素材となるとサラサがが太鼓判を押してくれたので、町の職人衆総出で解体にとりかかることにした。


 そんなパニックヒュドラワームが巨体が横たわる解体現場を眺めていた俺は、ふとアイデアを閃いた。


 俺のテイムモンスターで土の精霊であるツッチーを使えば、土壌汚染はどうにかなるかも? ということだった。


 ツッチーは鉄や銅の鉱脈の場所を言い当てるほどの土に関するスペシャリストである。


 さっそくツッチーを召喚してお願いしてみると、目の前にある数メートル四方の毒土表土を瞬時に肥沃な腐葉土に変えて見せた。


「主様、テイムホテルに入っていた掘削の際に取り込んだ土と入れ替えてみました」


「ツッチーが喋った!?」


「主様の言語理解のスキルのおかげでございます」


 そういえばそうだったか…。こいつ全然喋らないから、喋らないもんだと思い込んでた。


「じゃあ、ここの土壌汚染を何とかしてもらえるのか?」


「かしこまりました。森の腐葉土と交換し、汚染した土は毒を分離した上で街から離れた場所の地中深くに埋めさせていただきます」


「お、おう。頼んだ」


 でもこれで土壌汚染の件は何とかなりそうだな。というかちょっと良いことを思いついた。


「ツッチー、ツボを渡すから分離したパニックワームの毒を入れてテイムホテルで保管してもらえるか?」


「承知いたしました」


 こちらに来た当初は毒には散々お世話になりましたから。敵に使われると厄介ということは、逆もまた然りなのである。


 避難していた農夫らの前でツッチーの土入れ替えを実践してみたところ、「土神さまぁ〜ありがとうごぜーますだあ〜」と拝まれていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ