k-509
パニックヒュドラワームの9本の首に同時攻撃が開始された。5番目の首が目の前にあるのだが、まるで塔のように長く大きい。
瘴気への耐性も無限ではなく、さっさと済まさないといけない。
なぜか木こりの掛け声を出しはじめた俺たちは、持ち込んだ二人用のノコギリやハルバード、剣で首に切り込みを入れていく。
俺は俺で、手の届くメンバーににバーニングマッスル(火属性の力ステータス上昇補助魔法)をかけ直しつつ、絶剣の浮遊剣を駆使して首に切り込みを入れる。そして俺は中央に位置する5番首にとりついているので、ホワイトさんとユリナさんの閃光弾を見、現場指示をする役割でもあった。
しばらくすると町の方から赤白白、の順番で閃光弾がが三発打ちあがった。
閃光弾の数が首の番号、色がメッセージを表しており、この場合は「3番の作業が遅れている」というメッセージとなる。
しばらく置いて白赤赤赤赤赤、6番首ちょっと進みすぎ。
それを受けて、すかさず6番首のハルバード兵二人は3番首に移動。
上を見れば、アッシュとシルベストさん、ビードラが怪獣大戦争よろしく、獅子奮迅の働きをしていた。
既にシルベストさんが鋭い爪から発せられる斬撃で9番首の先端部分をつぶしたものの、切られた部分の肉がボコボコと盛り上がり再生をはじめた。多少の時間稼ぎにはなるくらいで、再生を止めるには9本同時につぶさないといけないようだ。
それと改めて気づいたのは、神獣の息吹で焼いたり、ビードラの石化攻撃でつけた傷は再生が遅いということだった。石化までも自動修復してしまうことが逆に凄いと思うけど、ともかくこの性質を利用するべき。
そこで俺たちは、首に切り込みを入れた部分は片っ端から火を使って再生を遅らせるようにした。
そうすることで、体液が噴出して新たなパニックワームが湧出することも防ぐことにもなる。
とはいえ体液が出るのを完全に抑えられるわけではなく、首切りの過程で相当な数のパニックワームが出現していた。
俺は7本の浮遊剣を駆使してパニックワームを誘導しつつ、パニックヒュドラワームの背中から叩き落し、また閃光弾のメッセージを読んで見逃した兵士に指示したり、また瘴気にやられた者をポーションで治療したりと、現場監督の役回りを演じていた。
超再生する太すぎる首を前に、ともすればゴールが見えなくなりそうな中、ホワイトさんとユリナさんが、これまでとは異なる色の閃光弾を発射した。




