k-504
「何が起こっている!?」
「町の方は大丈夫なのか!?」
飛び交うヴォルフスザーン領軍幹部たちの怒号。現在、パニックワーム事件対策本部は絶賛大混乱中。
それもそのはずで、先ほどから「ズーン、ズーン」とどこからともなく遠くの方から地鳴りの音が断続的に鳴っている。その度に天井から白い石の破片とも埃ともつかぬものがパラパラと頭の上に降り注いできていた。
俺たちは城にある塔の上からなら何か見えないかと塔を登ることにした。そしてそこから見えた景色に俺たちは目を疑った。
町の方は……、大丈夫。出現ポイントに兵士が終結し、無事出現したパニックワームを倒すことができたようだ。
問題は、パニックワームの出現ポイントを囲うようにピンク色の不気味な紋様が浮かび上がっていること。それは先ほどホワイトさんが黒板に描いた紋様そのもの。
そこから少し離れた町の北門の石塀の向こうには、北海道百年記念塔の3倍はありそうな高さの9つ頭の化物が出現している様子が垣間見えていた。
北海道百年記念塔はきっちり高さ100メートルに設計されていたはずで、それを単純に三倍する高さとなると、あの化物は優に高さ300メートルを超えているということに。
キングギドラが首三つだから×3かあ、などと現実逃避しかける俺。
だがそうこうしている間にも仮称「キング〇ドラ×3」が一歩歩く度に「ズーン」という地鳴りが鳴り続けており、否応なく現実に引き戻される。
化物がギャオ―スと吠えながらピンク色のブレスと涎を辺り一面にまき散らし、その液体溜まりからは次々と例のパニックワームたちが湧き、取り巻きとなっていた。
MMO的には完全に取り巻きを引き連れたMVPモンスターといった感じ。そして化物は確実に町の方向に進んでいる。街に入る前に食い止めなければ大変なことになる。
ふと嬉しそうな声が横から聞こえてきたので見てみると、自他ともに認めるモンスターマニアのホワイトさんが仮称「キング〇ドラ×3」を見て嬌声を上げていた。
そんなにお望みならば一人で突撃させてやろうかと思ったが、何とかアンガーマネジメントに成功する俺。
今回のどさくさで領軍司令に復職したジュノに、北門に領軍を集結させ敵の足止めをするよう指示。ついでにジュノは冒険者ギルドの指導官を兼任しているので、ギルドにも緊急討伐依頼を出すよう指示。
それから俺はホワイトさんに仮称「キング〇ドラ×3」もといパニックヒュドラワームの情報を吐かせ、その場で急ごしらえの討伐作戦を立案。作戦に必要な人員資材を大至急北門へと集結させることにした。




