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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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k-55

 冒険者ギルドに大蛇の討伐依頼を出した後、しばらく川には行けないので、再度町に浴槽を持ち込み、水を満載にして家に帰った。


 あの大蛇。町に来ようものなら相当な被害になるぞ。俺の家も危険だ。ちょっと何か対策を考えなければな……」。


 俺は貴鉄でスコップを加工し補強することにした。鍛冶小屋の炉に火を入れる。


 カンカンカン シャッシャッシャッ


 土を削る部分を強化して、砥石で鋭利に研いでみた。


 ザクッ


 試しに土を掘り返してみると、大分楽に掘れるようになった気がする。


 俺は家の周りを囲うように穴を掘る。土を掘った穴よりも家側に積んでいき、スコップのはらで土を叩き固めていった。無いよりはマシかなという程度ではあるが、ちょっとした土壁である。


 掘った穴も、可能な限り外側から壁側に向けてなだらかな傾斜にし、高低差をつけるようにした。



 ◇◇◇



 結果的に言えば、大蛇の脅威は俺の杞憂に終わった。


 熟練冒険者のパーティが、大蛇を討伐したそうだ。これで、ようやく川で水が汲める。


 これが一般人による冒険者ギルドの正しい利用法である。


 冒険者として強敵を倒して名を馳せる? ノンノン。そんなのは現実にはありえない話なのだよ。


 俺にできるのはせいぜい、討伐依頼を出すことくらいさ。


 森から俺の家にコカトリスやらヘルハウンドやらが来たらとても困る……。というよりも、死ぬ可能性が非常に高い。俺は、森に生息するモンスターの討伐報酬として、金貨10枚を冒険者ギルドのダンに預けることにした。


 一匹につき金貨1枚の報酬を上乗せしてもらった。

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