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【不死鳥の霊薬】が完成した喜びもつかの間、俺たちは薬の完成がゴールではないことをすぐに思い出す。
目的はジュノ、ジョニー、マペットの蘇生だ。
鑑定結果に「蘇生対象の保存状態が成功率に影響する」とあることも、改めて読むと不安になる。「極小の確率」とあったことも含めて。
聖教国からの帰りの船の中で「秘策がある」と言ったホワイトさんに、これからの手順を確認することにした。
ホワイトさん曰く、モンスターテイムには魂魄の知識が深く関わっている。そしてモンスターの《《蘇生》》もまた、モンスターテイマーの秘術の一つとされている。
歴史上、人間を対象とした蘇生実験はそんなに数は行われてこなかったが、モンスターテイマーたちによるモンスターの蘇生はそれとは事情が異なる。
そして、モンスターの蘇生には魂魄の状態が大きく関わっているということが、学術的な通説となっているのだそうだ。
死んだモンスターの魂魄をどのように保存するのかということも、モンスターテイムの秘術の発展とともに研究が進んでいた。
今回、マペットの魔核を精霊樹の水を凍らせて氷漬けにしたこと、凍らせる水に何かの液体を加えていたが、それらは魂魄保存、モンスター蘇生の秘術に関わることだった。
氷で覆うこと自体が魂魄の保存につながり、さらに蘇生確率を上げるための秘術がマペットには施されていた。この秘術は《《人間にも高確率で応用可能》》、というのがモンスターテイマーたちの間では通説となっていた。
そしてマペットに施された魂魄保存の秘術はジュノとジョニーにも施されていた。
改めてそう俺に説明してくれたホワイトさんは、「お前が成功を信じなくてどうする」と俺の背中を叩いて励ましてくれた。
俺は湧き上がりそうになる不安を打ち消すため、蘇生術の準備に没頭した。




