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ジュノの死にショックを受けて、エルザが倒れてしまった。
一晩明けても部屋から出られない状態だそうだ。心が痛い。
ショックのあまり変なことを考えないか心配なので、ここは出産で散々世話をして信頼されているキシュウ先生に任せることにした。
一番の薬は何よりジュノを生き返らせることだからな、俺はそっちを頑張らないと。
俺はジュノが死なせてしまったことの悔やみ、悲しみ、謝罪、ジュノを生き返らせようとしていること、色々な想いを手紙につづった。
そして、エルザにジュノを生き返らせようと動いていることを話すタイミングはキシュウ先生に一任していたので、手紙は先生にそのときに渡してもらうようお願いしたのだった。
……
あれから色々と調べ、イリューネ草がありそうな場所がわかってきた。
やはり俺が前に住んでいた元の世界からの転移ポイント、農具小屋があった場所。
そこから毎日眺めていた西側の山脈にあるのではないか、ということだった。
目星をつけることができたので、次は実際にイリューネ草の探索に向かおうということになった。
遺体の状態が一つのポイントになるので、できるだけ足は速い方がいい。となれば陸路より空路、ビードラ便で向かうのが一番早いだろう。
面子も、速度を考えるなら大人数よりも少数精鋭の方がいい。
ということで、調査に向かうのは俺以外に戦闘能力がずば抜けているターニャとアッシュ、知識の面で最も頼りになるホワイトさんの合計4名で向かうことになった。
また、実際に素材が集まったら蘇生薬を作ることになるんだけど、キシュウ先生とホワイトさんが調べたところ、結構複雑で大がかりな手順が必要らしかった。
そこでイトシノユリナに残るキシュウ先生には、素材が全て集まったことを想定しての準備を全面的にお願いした。
そして手早く旅の準備を整えた俺、ターニャ、アッシュ、ホワイトさんの4人は、日差しがさんさんと降り注ぐ町の広場でみんなが見守る中、魔獣の革と樹木でできた籠に乗り込んだ。
みんなが「頼むぞ~!」と俺たちに声をかけてくれている。
ジョニーの子分たち4人に至っては、ハンカチを口に嚙んで涙を流しつつ、ギャング団のトレードマークであるジョニーのモヒカンが描かれた旗を振って応援してくれている。
それだけ、みんなの期待がかかっているということだ。頑張らなきゃだ。
翼竜のビードラが籠上部の金具を掴み、翼を大きくはためかせると籠が浮かんだ。
それをみた町衆がどよめく。
そんなことはお構いなしに、俺たちはどんどん垂直に上昇していった。
町の人たちが豆粒となり、ついには完全に歓声も届かなくなった。
今かなりの高度にいるけど、スクリーンの魔法をかけているため、籠内に風の影響はなかった。
今までずっと地図とにらめっこしていたホワイトさんが、俺に進む方向を指さしたのだった。




