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だが、実際にイリューネ草なる素材はどこにあるのだろうか? と俺は考え込む。
一方その場にいた面々は、ジュノやジョニー(もちろんマペットも)が生き返るかもしれないとわかり、大いに盛り上がりどんちゃん騒ぎを始めた。
誰だ酒を持ち込んだのは。
しかしそこは流石のマルゴ。
「盛り上がっているところに水をかけるようでスマンが、今ここで話していることはエルザには黙っといてくれんか? 期待させといて「やっぱり駄目だった」なんて残酷なことだけはしちゃいかん」
それまで腕を組んで黙って聞いていたマルゴがそのようなことを言い、締めるところはちゃんと締めたのだった。
マルゴが冷や水をかけてくれたおかげで浮かれムードも一転、教会の中、みんなで素材の場所について真剣に考えてみることになった。
「確かにその文脈だと、騎士は一度魔物に殺されて蘇生したと考えることもできるわね」みたいなことを、サラサが言った。
「『西の峻険な山脈』とは、レスタの町から西の方向に見えていた山脈のことだと思うけど。もっと詳しいことは分からない?」とジェスチャー混じりで聞く俺。
丁度、晴れて我が領の専属建築士となったレスタ出身のブラードさんがレスタ近郊の図面広げて見せてくれた。
そして、それにサラサが「確か場所を地図で教えてもらったことがあったはず。……そう、この辺り」と指で示したのだった。
さらにいつの間にかキシュウ先生が教会に戻ってきており、会話を後ろで聞いていたのか「その伝承なら俺も聞いたことがある」と低く渋い声で会話に入ってきた。
キシュウ先生は「万能薬など眉唾ものだと思っていたが、古文書と口伝の伝承という出どころが異なる情報が一致するなら、その信憑性は高まるだろう」ということを俺にもわかるようにゆっくり目のランカスタ語で言った。
それからキシュウ先生とホワイトさんは、それぞれの専門分野の知識を持ち出し俺には聞き取れない早い口調で小難しい話を始めたのだった。
全て自分が頑張らないといけないと気を張っていたけど、こんなにも頼りになる仲間たちがいることを知り、俺は自分の胸が熱くなるのを感じた。




