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ところで、ホワイトさんはウィザードというだけあって非常に博識だ。
テイミングモンスターのことだけじゃなく、魔術的なことにも造詣が深い。
そしてその魔術的なことには、《《生命蘇生術》》も含まれていた。
ビードラに運ばれている間ホワイトさんが言ったのは、蘇生対象の損傷度合が生命蘇生術の成功率に影響するということで、それは蘇生を試みるならまずはマペットの魔核のみならずジュノたちの遺体の保存状態に気を付けないといけないと話してくれた。
これはつまり、死んでしまったジュノやジョニーの蘇生が可能かもしれないということ。
魔法があるなら生命蘇生術だってあったって不思議じゃないと思っていたが、やっぱりかと思った。
そんなに簡単じゃなさそうだなんてことは解かってるけど、ジュノはこの世界でできた初めての親友なんだ。
ジョニーだってワルぶってはいるけど孤児院の子供たちから慕われるいいやつだし、マペットも毎日一緒に過ごすうちに大切な家族だと思えるようになったんだ。
落ち込むのはすべてをやり切った後でいくらでもやればいい。
俺は自分にそう言い聞かせ、遺体や魔核を状態良く保存する方法をホワイトさんから教えてもらうことにしたのだった。
……
精霊樹船の舵とりをバーデンさんたちに任せた後、俺は生命蘇生術についてホワイトさんから色々と教わった。
ホワイトさん曰く、そもそも体の状態良く保存すると生命蘇生術の成功率が上がるというのは、生命蘇生術は生命体がもつ魂魄に働きかけるからであるという理屈らしい。
魂魄は例え生命活動が終えようとも、すぐに四散してしまうわけじゃなく、しばらく体にとどまり続けるのだそうで。
そして魂魄は、汚れてアンデッドになったり、四散して無くなることで体が腐敗し土に還る。
魔術的にはそう考えられているのだそうだ。
逆に氷漬けにし体の腐敗しにくくなるのは、魂魄を体にとどめておくとことになるため蘇生の確率が上がるということになる。
ただし、氷漬けにしただけでは魂魄が汚れるケースもあるので、清浄化作用のある精霊樹でろ過された水をつかって氷の棺を作り、神殿など神気のあるところに遺体を安置することが一番状態良く保存できる方法だろうとのことだった。
そして今なら精霊樹の水はいくらでも余ってる。
俺はホワイトさんと魔力が豊富なターニャの力も借り、ジュノ、ジョニー、マペット用の氷の棺を作ることにしたのだった。




