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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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k-468

 俺の手に握られたマペットの魔核から強い光が発せられたかと思うと、マペットの体がぐにゃぐにゃとうねるように変形。



 無数無限の枝やツタのうねりとなって、一か所に固まっていたギデオン、ヴァーリ、フレイドを絡めとっていく。



 敵も抵抗を見せるが、圧倒的なエネルギーと質量を前に封印されてしまった。



 だが相手が相手である。あくまで時間稼ぎであって、封印も長くはもつまい。



「よし、今のうちに急いで撤収するぞ!」



 俺の合図で全員が隠遁粉ハイディングパウダーを被ると、神殿の入り口から庭に出た。



 そこでビードラ用の籠をテイムホテルから取り出し、全員そこに乗り、体を川のベルトで固定。



 俺の指笛を合図に、俺たちが乗った籠を掴んだビードラが、竜翼をはためかすとゆっくりと浮上。



 オーロラの輝く常闇の空へと飛び立ったのだった。。



 ……



 雲一つない夜空をまずはバルザックさんの山小屋に向けてビードラに飛んでもらい、山小屋で待機してもらっていた秘書のメアリーさんと料理人のトクジュウさんを一旦回収した。


 山小屋には既にバルザックさんとシーナさんが戻ってきており、彼らは俺たちと別ルートで一度トラキアに戻るとのことだった。



 二人とは連絡手段をもっておきたいので、定期的に手紙のやりとりをすることを約束し、俺たちは再び空から海を目指すことにしたのだった。



 それからしばらく極寒の空の旅を楽しんでいると、流氷が敷き詰められた極寒の海が見えてきた。



 雪はないが冬空の高高度の旅は向かい風で凍ってしまうほどだった。



 寒さを凌ぐためスクリーンの魔法で温度の急激な変化を緩和しているとはいえ、寒いもんはやっぱり寒かった。


 そこからさらに何枚もの毛布で体を覆いモフモフアッシュやターニャと身を寄せ合って暖をとる俺であった。



 そうして流氷部を抜けたところまでビードラに運んでもらうと、俺は海の上に精霊樹を出し船に変形させた。



 それに全員が乗り込むと、暖かい船内の中ようやく一息つくことができた。


 だけどみんなの表情は晴れることはなかった。



 それはそうだ。今回の作戦は完全に失敗だったのだから。



 何とも言えない無力感に包まれながら、俺たちは帰国の途についたのだった。

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