k-466
ギデオンの攻撃に気付いたジュノとジョニーが同時にターニャを突き飛ばしてかばった。
ジュノとジョニーがギデオンの放った毒々しい色をした電撃を食らってしまった。
ビクンビクンと体を痙攣させるジュノとジョニー。体からは煙が立ち上っている。
それを見た仲間たちが呆然とする中、アッシュが真凱旋獣歌の遠吠えをしてメンバーを勇気づけ我に返らせた。
そしてアッシュは率先してギデオンに挑んでいった。
ギデオンもアッシュの相手を始め、それ以上ターニャたちに追撃をすることはなかった。
アッシュ世界一いい子。
とにかく今は戦線維持だ。
俺はホワイトさんのハト経由で呆然とするターニャに「しっかりしろ。ジュノ達の治療の間、ギデオンの足止めを頼む」と、ジョニーの子分二人にはジュノとジョニーをこちらへ担いでくるように指示出しをしたのだった。
……
そして子分二人に運ばれてきたジュノとジョニーは想像以上に酷い状態だった。
全身の皮膚が焼けただれていた。それに呼吸確認と脈診をしたが、心肺停止状態だった。
俺とミズチさんはすぐに心臓マッサージ、回復魔法、ポーションと治療を施した。
それでも二人が回復することはなかった。鑑定にも【死体】とはっきりかかれている。
でもそんな鑑定結果がなくたって、二人から命の灯が消えていることは一目瞭然だった。
ミズチさんはその事実を受け止められないのか、涙を浮かべながら回復魔法をかけ続けた。
俺は彼女の肩に手を置き、首をふった。
ようやく我に返った彼女は、その場でへたり込んだのだった。
今は悲しんでるときじゃない。指揮官は俺だ。しっかりしろ、頭を働かせろ、考えるんだ。
じゃないともっと犠牲が出てしまう。
俺は自分にそう言い聞かせて、思考停止に陥りそうな頭を無理やり動かした。
――ターニャはギデオンに傷をつけることができなかった。
犠牲者も出てしまった。
このまま戦ってもじり貧なのは明らかだ。なんの戦果もなく撤退するのは痛いけど、損切りは早ければ早いほどいいとも言う。
「ホワイトさん、全員に撤退を全員に伝えてください。例の手段を使って時間稼ぎます」
ジュノとジョニーの遺体はホワイトさんの魔法で念のため氷漬けにしてもらい、ビードラのテイムホテルに収納した。
彼らのような犠牲を増やさないためにも、俺は絶対に使いたくなかった逃亡作戦を実行することにしたのだった。




