k-450
船長のバーデンさんが、「ノーザリア大陸が見えたぞ!!」と声を上げた。
俺たちが目指していたゼラリオン聖教国のある北半球ノーザリア大陸。アバウトな世界地図上ではほぼ北極大陸に近いように描かれていた場所。
実際にも緯度がかなり高い場所にあるのか、辺りには流氷が流れており、その上をペンギンやオットセイのようなモンスターがよちよち歩いていた。
さらには、時たま盛大な水しぶきがあがったかと思うと、シロナガスクジラをさらに大きくしたような温厚なモンスターが雄大なジャンプをかまし、その周りをイルカ型のモンスターが楽しそうに泳いでいる。
それを見たターニャとアッシュが大はしゃぎ。
船の上に集まったみんなも、防寒具を着ているにもかかわらず、寒さに震えながら白い息を吐いていた。
ここのところ急激に寒くなってきたため、宴会も甲板ではなく船内に場所を移している。
操舵室も寒さを凌ぐため、魔道具で温めたホットワインと毛布が欠かせないという状態になっており、急遽操舵室にお風呂のお湯を循環させ床暖房仕様に変更して寒さを凌いだ。
だがそんな色々あった船旅も終わりが近づいている。
島が見えているということは、敵からも俺たちが見えてしまうということだ。
なのでここからは敵に見つからないよう、シーナさんに航路や接岸部分を案内してもらう必要があるな。
俺たち事前に準備していた、監視の目をかいくぐるためのカモフラージュ用の大きな布で船体を覆った。
船はシーナさんの案内で氷山を避けつつ、接岸可能な自然港湾を目指した。
そして船は静かに、白一色に染まる内海へと入っていったのだった。




