k-448
俺がタッチパネルに表示された候補から【魔翼竜パドロン】をタップ、さらに最終確認のYESを押すと、ビードラの体が紫色の光の繭につつまれた。
しばらく光の繭は明滅し、青空色に変化した。
繭のリボンがシュルシュルと音を立てほどけると、そこには、繭の青空色をさらに濃くした色合いの翼と鱗をまとった竜の姿があった。
鑑定すると【魔翼竜パドロン】と出た。進化は成功したようだ。
「ビードラ、飛べ!」
俺が空を指して叫ぶと、ビードラは「クルルル!!」と甲高く鳴くと、翼を大きく開き、海から蒼穹へと飛び立ったのだった。
ビードラは船から見えなくなるまで登り、雲を突き抜けていった。
それから小一時間ほど経って、ビードラが戻ってきた。
爪には何かの獲物が引っかかっており、ビードラはそれを甲板の上に落とした。
それは、フォアグラの食材として “子狼の食卓” でもお馴染みの怪鳥ファントムバードだった。
それを見たみんなから、歓声が上がった。
これは鷹狩りならぬ竜狩りによる空の食材が、今後も期待できそうだ。
フォアグラのソテーが楽しめそうということもあり、料理人のボクゼンさんを中心にファントムバードの解体を張り切る俺たちであった。
ちなみにビードラは翼を広げると20メートルを超える巨体なので、ベヒーモスの時と同じように甲板に乗ることができない。
俺は船の近くをホバリングしていたビードラをテイムホテルに収納し、頭を撫でてあげることにした。
自分で狩りをしてくるなんて、誇張なしに素晴らしい。
アッシュの躾でもそうしてるように、いい子にできたペットはきちんと褒めてあげるべき。
俺に撫でられたビードラは、馴染んだ寝床で目を細め、嬉しそうに喉を鳴らしていたよ。
あとでビードラには、ご褒美にファントムバードのフォアグラを食べさせてやらないとだな。




