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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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k-443

 沸き起こる悲鳴と怒号で我に返る俺。



 目の前には50メートル級の大津波が押し寄せ、辺りに影を落とす。


 船内は大パニック。こういう時こそ落ち着かねば。



 どうすれば……、と考えたところで閃いた。



 俺は樽に入って無人島から荒波を超えて生還したという話からヒントを得、ならば船ごと樽みたいに変形してはどうか。



 さっそく人や荷物が転がらないようにツタを伸ばして固定ガチホ。空をとんでるクルルポや船底にいるマペットも船内に入れ、中が空洞になっている球体のイメージを指輪に叩き込んだ。



 すると船がぐにゃぐにゃと変形。徐々に丸みを帯びていった。



 船が完全な球体になったところで、特大の衝撃が俺たちを襲った。



 圧倒的な浮遊感に落下フリーフォール。前後左右に回転運動。上がる悲鳴。



 まるで遊園地の絶叫マシンに乗っているみたい。さすがの精霊樹揺れ防止機能も、これだけのムーブには対応していないようだ。




 ややしばらくして揺れが止まる。海竜が攻撃をけしかけてくるかもしれないので油断できない。


 だが待てど暮らせど、衝撃は襲ってこなかった。



 そこで自分のホールド状態を解除俺は、船をもとの形に戻してみることにした。


 ちなみに船を元に戻すのに、また一からイメージし直すのは大変なので、船体設計図のようなものを書き、それを補助にイメージするという感じでやる。



 船が元通りに変形していくと同時に天井から太陽の光が船の中に差し込み、周りの様子が徐々に明らかになっていく。


 まず、海竜の気配も辺りからなくなっていた。海面は凪で静かなものだった。



 船内を見渡すと、白目を剥いて気絶している者が殆どで。


 特にジョニーたち5人が特に酷くて、口からモザイクがかかるアレが漏れ出ていた。


 女性陣もちょっと表現に困る表情というか、好きな人が見たら百年の恋も冷めてしまいそうな顔をしていた。



 なので俺は、誰にも見られないうちに先に女性陣を起こしていった。




 船縁ふなべりから遠くを見ると、遥か彼方の水平線が茜色に染まっていた。



 すると夕日を背にしょった海竜シーサーペントが、何事もなかったかのように茜色の向こう側へと泳ぎ去っていくのが見えたのだった。

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