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翌朝ベッドでターニャと眠っていた俺は、アッシュに顔をぺろぺろされて起こされた。爆睡していたようだ。
よだれを垂らして良い夢をみている顔のターニャを起こし、顔を洗い歯を磨かせる。いつもユリナさんに任せっきりなので、苦労がわかる。
アッシュにエサをやり、朝飯を食ってから分担に従って作業開始。
俺の分担は物資をテイムホテルに積み込むことと、精霊樹の船を造船所に出しておくことだ。
ターニャとアッシュは特にすることがないので、広い庭でシエラさん、マペットに相手をしてもらい戦闘訓練をさせることにした。
そして俺は、ザックと一緒に造船所へと向かったのだった。
潮風の吹き荒ぶ中、フードを目深に被り港に入った俺とザックは、港で船大工頭のバーデンさんと合流した。
バーデンさんはいかにも親方といった感じの人で、日に焼けたムキムキの上腕二頭筋が黒光りしている。
そんなバーデンさん曰く、現在は五番ドックが空いているので使ってくれとのことだった。
バーデンさんと一緒に五番ドック内に入ると、建材や埃除けの布が所狭しと置かれていた。中央には湾内につながる水場、天井には船を釣り上げるためのゴツい鎖が何本もぶら下がっていた。
作業員は全て人払いされており、確かにここならバレる心配はなさそう。
「じゃあ、始めます」
俺は水場に向かってビードラのテイムホテルから精霊樹の塊を取り出すして浮かべる。
そして、左手の指輪を船に向けて掲げ「樹木操作」とスキル名を唱え船の形をイメージ。
すると精霊樹がぐにゃぐにゃと動き出し、あっという間にスクリュー船の形になったのだった。
そういえば、帆船にもできるかやってみよう。
試しにここに来るまでみた帆船の形を思い出しイメージ。するとマストがニョキニョキ生え、帆船の形になった。
さすがに帆は自分たちで張らないといけないらしい。
一連の出来事に腰を抜かしてへたり込むバーデンさん。
帆を張るのをどうしようかとザックと相談していたら、優秀な船乗りでもあるバーデンさんが着いてきてくれることになったよ。
ついてきてくれる船乗りが急な話すぎて見つかってなかったので丁度良かった。
「ここの仕事は大丈夫なんですか?」と聞くと、副船大工頭が厳しい人らしく、「あいつがいるから俺がおっ死んでも大丈夫だ」と言っていた。
優秀な船乗りを仲間に加えたところで、俺はマストを引っ込ませると、埃除け用の布で船を隠したのだった。




