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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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 教皇ギデオンのいるゼラリオン聖教国は、世界地図上では中央の相当北寄りに位置している割と大きな島国だ。


 日本人が見る世界地図のオーストラリアを丁度180°回転させ、さらに北側に配置した感じ、と言えば伝わるだろうか。


 かなりの寒さが予想される。



 そしてラフィット氏の手紙にあった【常闇の日】とは、ゼラリオン教的に死と再生意味する重要な日とされているようで、一日中空には太陽が昇らず、光のカーテンがはためくのだそうだ。


 それを聞いた俺は、北極大陸で見られる極夜とオーロラのようだと思った。普通にそういった自然現象が、宗教的なイベントに利用されているだけなのかもしれない。



 いずれにせよ、ゼラリオン聖教国が島国である以上ランカスタ王国から行くには海を渡る必要がある。



 そしてハイランデル王国&ゼラリオン聖教国とはついこの間戦争があったばかりなので、ランカスタ王国から定期運行している船はない。



 一応うちの領内には港町サンチェスがあり、そこでは徐々に帆船も造られてはいる。

 

 ではあるが、その足だと間に合わない可能性があり、この人数が乗るにしては小さすぎる。



 そこで俺は、秘蔵の船を使うことにした。


 その名も【精霊樹の船】だ。


 これはメキアの精霊王エリューン様からいただいた精霊樹の枝(巨大)と指輪の樹木操作を使ってできた代物だ。



 この間、イトシノユリナの横を流れる大河でスキルを実験した時のこと。


 スキルを使いながら船をイメージすると精霊樹が音を立てて変形し、10人以上乗ることができる大きさの船の形になった。


 船内にはイス、船尾にはスクリューがついていて、回転するイメージを頭に描くとそれに合わせて勢いよく回り始めた。


 王族書庫ロイヤルアーカイブで見たドーム状に天井を包むイメージをすると、それもできた。


 どういうわけか透明ではない精霊樹でできているはずのドームは半透明な黄緑色に透けていた。


 これがあれば雨風や水飛沫、直射日向を防げるため、船に慣れない者には嬉しいだろう。




 あとは船旅になることは確定しているので、ザックの配下の船乗りを港町で見繕って連れていこうということになった。


 よくよく考えてみると船旅には雑用含める多くの下働きがいるわけで、メアリーとトクジュウさんだけでは厳しい。


 なので、相も変わらずイトシノユリナでギャング【ジョニーと七人の悪魔】

を名乗りつつ、子供たちのヒーローを夢見て活動していたジョニーたち5人を雑用として連れていくことにした。


 彼らを城に呼びつけ「本物のヒーローになる気はないか?」って言ったら、二つ返事でついてきてくれることになったよ。



「よしみんな、早速準備してくれ」



 夕方にもう一度城の会議室に集まることにし、俺たちは一度解散したのだった。

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