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セトの誕生会も終盤に差し掛かった頃、劇場のバーカウンターでラフィット氏が話しかけてきた。
もちろん俺が言葉に不自由なのは知っているので、筆談とジェスチャーで。
まず彼が手渡してきた手紙を読んでみることにした。
……
親愛なるケイゴへ
今回は息子君の誕生日会に呼んでくれてありがとう。
さて、早速だけどキミに朗報があるよ。
キミはゼラリオン聖教国にいる教皇ギデオンが怪しい、魔王なんじゃないかと言っていたね?
実は僕も彼らが布教するものにはどうにも悪意があると思っていてね。ゼラリオン聖教国に配下を忍び込ませ調査をしていたところだったのさ。
聖教国の聖都ゼラリオでは年に一度【常闇の日】と呼ばれる太陽の昇らない日に、全ての信徒たちが家にこもり、教皇ギデオンは神殿で一人静かに瞑想する習慣があるそうでね。
どうだい、チャンスだと思わないかい?
勇者のターニャ君とアッシュなら、倒せる可能性があると思う。是非検討してくれたまえ。
一応こんなこともあろうかと、キミの港町サンチェスに聖教国へ渡る案内の者を海猫亭という宿で待機させてある。よければ使ってくれたまえ。
ラフィット
……
手紙を読んだ俺は、ラフィット氏に色々質問してみることにした。
魔王=教皇ギデオンということに、どれくらい確信があるのか?
【常闇の日】とは?
今のターニャとアッシュの力で倒せるのか? など。
ラフィット氏は魔王がギデオンであるというのは、ほぼ間違いないだろうと言っていた。太陽の日は今からちょうど一ヶ月後くらいで、今から出発すれば余裕で間に合うとのこと。
そして肝心のターニャとアッシュが魔王と勝負して勝てる確率はフィフティくらいだと思うとのこと。
だが、それは俺やマルゴ、ジュノたちが参戦することを考慮していないので、こちらが複数で攻め込めばこちらに勝機があるとも言っていた。
お祭りムードを壊すのも野暮だと思った俺は、内々にこの件について作戦会議をすることにした。




