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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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 息子のお誕生日会に来てくれたのはランカスタ王国貴族だけには止まらない。


 一緒にこの企画を考えたガンドのバンデッド国王はもちろんのこと、トラキアのラフィット氏まで来てくださった。



 たかだかうちの息子の誕生日ごときにだよ? お返しとか考えると、なんか胃が痛くなってきたよ。


 貴族やお偉いさんから集まってしまったお金は、パーティに注ぎ込むことにしたよ。とても使いきれないけど。



 その結果、ねぶた祭りやら花火やらという特に意味のないものが出来上がってしまったというわけ。



 広場や城は全て解放。町の者はもちろん近隣の町から人出を募り、総出で一週間に及ぶお誕生日会が開かれることになったとさ。




 そういえば、今じゃ嘘みたいな話だけど、昔はオリンピックが経済発展のきっかけになったらしい。


 今回の一件でお金がジャブジャブ使われ建物がガンガン建っており、それに近いものがあるのかもなとも思ったり。



 だけど、当のうちの息子が置いてけぼりにされている感じがするので、お偉いさん方にお帰りいただいた後に、ささやかに家族だけでお誕生日会をしないとだ。


 俺とユリナさんでケーキでも焼いて、ローソクふ−とかね。


 そんな世界一平和な光景を想像してたら、顔がニマニマしてきた。




 さて、それはさておきだ。


 俺は、押し寄せるお偉いさん方の接待に奔走したのだった。



 例えば俺とユリナさんとの結婚式でセンセーショナルなデビューを果たし、ランカスタ王国に根付きつつあるマンザイ文化。



 お誕生日会でも連日披露され、来客に大ウケだった。



 俺はこの機会に来てくれたみなさんに楽しんでいただくため、劇場の新ネタを作ることにしたよ。そのための費用は、みなさんのカンパを使わせていただいた。



 さて、その新ネタその1「ラッソン・ローレライ」。


 ドイツ西部のライン川中流の峡谷右岸にそびえる奇岩。 その岩上にいて、美しい歌声で舟人を誘惑し破滅させるという伝説の魔女ローレライをモチーフにしたリズムネタを考え出した。


 これはもちろん元ネタはあるものの俺独自のアレンジをしているので、オリジナルと言えなくもない。


 新ネタその2「ダメよ〜、ダメだね」。


 これは、芸人女性二人がおじさんメイクと妖艶な女性メイクをして飲み屋さんで口説かれるのをただひたすら拒否するみたいな、若干アダルティーでシュールな内容のネタだ。


 もちろん元ネタはあるが、流石のJASRAC様もここまで権利料を取り立てには来ないだろうと、盛大にパクらせてもらったものになる。



 そしてこの新ネタも大ウケだった。


 「ダメよ〜、ダメだね」は「新年会でやると地獄を見る」と評判だったのちょっと心配だったけど、ちゃんとウケて良かった。

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