k-426
鳴り響くファンファーレ、白馬に乗った近衛騎士たちの行進。次々に打ち上がるド派手な花火。
翼竜や海竜やらをかたどった、ねぶた祭りみたいなどでかいオブジェが町中を練り歩いている。
「ええ……」
アホの子みたいに口を開けて呆然とする俺。
俺の段取りなど片っ端から無視して王様二人とイトシノユリナのみんなが推し進めた結果である。
ついに我が息子セトのお誕生日会がやってきたのである。お誕生日会と言うにはずいぶんなことになっているのは言うまでもない。
「ヴィオラあなたの未来の旦那様よ。ご挨拶は?」
「あたちヴィオラ。あんたをケライにちてあげるわ」
「あーい!」
すっかり元気になった舌ったらずのヴィオラちゃん(ランカスタ王国第三王女)に話しかけ、歩き始めたてのうちの息子がこれまた元気よく手を上げて返事をした。
天使だねこりゃ。
ゲルニカ陛下がイザベラ様とヴィオラ様を連れてお祝いに来てくれたのだ。
さらにこのランカスタ王国には「陛下がお祝いをする相手を一緒に祝わないことは貴族にとって許されない行為である」という不文律があるようで。
これを破ると、あの強力な眼力で射殺されると、貴族の間で実しやかに噂されているらしい。
その結果このヴォルフスザーン伯爵領に王国中の貴族たちが勢ぞろいしてしまったのだ。それも多額のお祝い金を持参して。
申し訳なさすぎる……。




