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瞬間移動装置の実験には成功したものの、取り扱いには注意しないといけないだろう。
何せ、ことは「便利になって嬉しいな♪」では済まないのだ。
例えばこの装置が敵国にパクられて、ゲルニカ陛下の住む王城に設置されたとしたらどうだろう。
堅牢な城壁や警備兵が無効化されることになってしまう。
なので管理は厳重に、この技術のことはごく一部の関係者だけに止めないといけない。
本当ならゲルニカ陛下の王城やら、今回巡った国々にも設置したいところだけど、今言った理由でそれはやめた方がいいと判断した。
俺は帰って早々、このことをみんなに力説したのだった。
……
まあ、だからといってガンド王国とイトシノユリナ間を自由に行き来できるようになったことには違いない。
使ったところで、俺のところに暗殺者が! という心配もない。
なぜなら俺の書斎とペアリングされた瞬間移動装置は知恵の間にあり、知恵の間の出入りには俺の許可がいる。
もし未承認の輩が侵入しようもんなら、あのレーザービームのような防御システムで蜂の巣になることだろう。
ということで、バンデッド王とデルムンド氏をここイトシノユリナにお招きしようと思う。
小川の流れる自宅の庭での魚釣りつつ酒盛り、劇場&モンスター闘技場観覧、子狼の食卓のVIPルーム、おもてなしプランを練る。
バンデッド側の財務の人も呼ぶつもりのでサラサやアイリスにも協力してもらおう。
プランを練り終わり諸々の手配を終えた俺は、知恵の間で探索や研究に没頭しているはずのデルムンド氏の元へと向かったのだった。




