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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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k-422

「俺はこの場所を見てこう思いました。道具や技術がどれだけ進歩しても使う人間が未熟で上手く使えない場合、それは刃となって我々に返ってきます。自然破壊、環境汚染、戦争の原因になりかねない。俺はそうなることを知っています」



 バンデッド王との交渉で、苦し紛れに放った俺の言葉である。



 だがよくよく考えれば、この時言ったことはあながち外れたことを言ってはいないのかもしれない。



 発明は人類に恩恵をもたらしもするが、戦争の道具に使われたり環境汚染の原因になったりもする。


 原子力、化石燃料、GPS、ロケット技術(=大陸間弾道ミサイル)、ドローン技術。


 枚挙にいとまがないとはこのことである。



 そして知恵の間で見つけた発明品の数々も、おそらくそういった類のものなのではないのだろうか?



 この異世界では元の世界と全く同じことが当てはまるとは限らない。


 だけど、だからと言ってそれを無視して良いことにはならないだろう。



 それにこの場所は交通手段として未だ馬車が使われているようなところだ。



 そんな世界の人たちに、いきなり瞬間移動装置ワープポータルのような技術を一般公開したらどうなるのか。


 混乱、技術の奪い合い、戦争。


 「起こらない」と言い切るのは流石に無責任というものだろう。



 幸い地下遺跡を調査しているバンデッド王も外に技術を出すことには消極的なようだった。


 それに知恵の間の管理権限者はこの俺だ。持ち出す持ち出さないの最終決定権は俺にある。



 技術の研究や発掘は進めるべきだけど、外への技術の持ち出しは慎重になった方がいい。


 少なくとも私利私欲のため、支配の道具として技術を外に持ち出すことはしないようにしなくては。


 それも考慮して今後の共同研究のことを考えなくては。



 イトシノユリナにある自宅(天岩戸アマノイワト)に戻ってきた俺は、書斎の隠し部屋に瞬間移動装置ワープポータルを置きながら、そんなことを考えていた。

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