k-415
「ここに神槌ミョルニルに関するヒントがあるんでしょうか?」
俺は身り振ぶり手振りを交えて直接デルムンド氏に聞いてみることにした。
「たぶんね。でもこの門は、力では絶対に開かない。ケイゴオクダはここ、ターニャはここ、アッシュはここに手を入れて魔力を込めてみて。文献通りならそれで……」
するとデルムンド氏はジェスチャー混じりでそう言い、俺たちを扉のくぼみへと促したのだった。
イタリアローマの真実の口を思わせる扉のくぼみの上には、マントを着た旅人風の男、剣と盾を持った戦士、肉球が可愛らしい狼の絵が描いてあった。
俺たちはそのくぼみに手を入れ(アッシュはユリナさんに抱っこされ手をもたれながら)、魔力を込めてみた。
すると扉にうっすらと緑色の光が浮かび上がったかと思うと、サイバーチックな駆動音を立てながら次々と機械仕掛けが動き、最終的に扉が奥の方へと開いたのだった。すげえ。
『知恵の門、および知恵の間にある資産の所有権、管理権限が個体名:ケイゴオクダに譲渡されました。マスターの生体認証登録を開始します……、登録完了』
レベルアップなどでお馴染み機械音声とタッチパネルのようなものがポップアップされた。
だが、何かがおかしい。
そして表示の内容から、門の向こうは知恵の間ということになるのだろう。ここは警戒して慎重に行動すべきだろう。
「みんな、気」
「イヤッハー! 今日は何て素晴らしい日なんだ!」
そんな俺の声を無視したデルムンド氏が、嬌声をあげながら門の中に突撃していったのだった。




