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昼過ぎ、俺たちは家族みんなで軽く王城周りの散策に出かけることにした。
歩いて周りを見渡していると、水回りの整備、道や橋、建物など建築デザインは無骨ながらも造りは強固でしっかりしている、という印象を受けた。
王城近くの通りは貴族街のようで、貴族向けの宝飾店や服飾店、武器防具店が並んでいた。
俺たちは軽くそれらの店を冷やかしつつ、記念に家族全員に再生効果(体力が微量ながら少しづつ回復する効果)のあるピンキーリングを購入したのだった。
指輪5個でしめて金貨150枚だった。
まあ、今の俺なら払えない額じゃない。
ちなみにアッシュは指輪を装備できないので、首紐にくくりつけてあげたら尻尾をふって喜んでいたよ。
その日は軽い散策だけで済ませ、王城に戻った。
本格的に街を視察するのは明日からだ。今日は酒は控えよう。
連日開かれた宴の席ではまだ酒が抜けきっていないということにし、飯を食ったあと王城の中にある蒸風呂に入り、早めにベッドで横になったのだった。
……
翌日。
今日はバンデッド王に街を案内してもらうことになっている。
朝食後、王専用馬車に家族で同乗することになった。
マルゴたち用の馬車と案内してくれる執事もつけてくれており、みんなで見て回ることになった。
城下町に出ると、金床に槌を叩きつける音や、鉱物を乗せたトロッコが鉱山師と一緒にレールを走る音が響いていた。
一方で、このように活気のある街でも裏ではスラム街は存在しているとのこと。様々な事情があってそこに行き着く者が出てしまうのは仕方がないと、王は若干諦め気味に言っていた。
そのため王は、俺が自分の街イトシノユリナにはスラム街はないです、と伝えると驚いていた。
俺はもちろんスラム街撲滅に貢献してくれているベーシックインカム制度も伝えた。王は目から鱗だと言っていたよ。
またスラム街には瘴気溜まりができやすいことも確認されているので、「竜神くんα」を設置すると少しはマシになると教えてあげ、いくつか渡してあげた。
そんなやりとりをしている間に、馬車は件の心当たりの人物とやらの工房に到着したのだった。




