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王にドーリア語で書いた手紙とは、もちろん「神槌」についてのことだ。
俺は通訳のハインリッヒを伴って、バンデッド王に手紙を渡した。
手紙を読んだ王は、自分よりもそれについては詳しい人物がいるので後ほど紹介すると言ったのだった。
エリューン様のように、全く知らないということではなくてよかった。その人物とやらに期待しておくとしよう。
とりあえず今日できることは終わった。
ということで、その日は存分に新しい酒との出会いを楽しむことにしたのだった。
バンデッド王は、英雄王らしく武器に目がないようで、俺が持つ絶剣デルムンド、ターニャが持つ宝剣デルムンドを手に取ると、興味深そうに観察していたよ。
その日の宴会は夜遅くまで続き、火酒のあまりの美味しさと酒精の強さに、いつの間にかベッドの上に倒れ込んでいた。
……
翌朝、ガンガンと痛む頭と共に目が覚めた。
いかん、こりゃ二日酔いだな。
若干まだ、世界が回っている。俺としたことが、ついつい飲み過ぎてしまったようだ。
俺は、ビードラのテイムホテルに入れておいたムレーヌ解毒草のポーションビンをつかむと少しずつ飲んだ。まるでウ◯ンの力だ。
解毒ポーションが効いたのか、徐々に体調が戻っていく。
まあ、今日は旅の疲れに配慮して一日自由時間ということになっているので、適当に起きてから街の散策でもすればいい。気楽なもんだ。
ようやく起きてきた俺にアッシュが体当たりしてきた。よしよし、アッシュは世界一可愛いな。
呆れた顔のユリナさんが、「早く顔を洗ってらっしゃいな」とかなり上達した日本語で言った。
そういえばさっきまではあれほど気持ち悪かったのに、少し腹が減ったかも。
顔を洗って戻ると、ドーリアのメイドさんが朝食を用意してくれていた。とろとろの半熟卵にチーズトースト、紅茶にサラダ。
うん、二日酔い明けにはもってこいの軽食だ。
俺はありがたくそれをいただくことにし、朝食を食べ終わった頃にはうちの家族は外出の準備がすでに終わっていた。
俺は早く早くとせかされながら、適当に財布とマントをつかむと街へと繰り出したのだった。




