k-398
「最近我が森が弱っており困っている。森を破壊する輩が増えてきているのだ」
翡翠の玉座に座るエリューン様は、困り顔でそう言った。
「人間が木を伐採しすぎているということですか?」
「それもあるが少し違う。我が森に接している奴らが戦争をしているのだ」
壊された森をドリアードの力で再生しているがそれにも限界があるらしい。最近では精霊の魔力の供給が追いつかなず、生き物の住むことができない瘴気の森が発生しているとのこと。
魔力……、あれならどうだろう。精霊にも効くのかわからないけど、試してみる価値はあると思う。
俺は霊薬エリクシスをエリューン様に渡すことにした。
病気を治す効果の他に、魔力回復効果があるからだ。
「どうぞ、試してみてください」
「……ありがとう」
エリューン様は俺から霊薬のビンを受け取ると、恐る恐る飲み始めた。
すると、すぐにエリューン様の存在感が増し始めた。
「……素晴らしい、力が溢れるようだ」
精霊にもちゃんと効果があったようだ。よかった。
「ありがとう。私の力が戻れば森の再生も早まるだろう」
「よかったです」
するとエリューン様はお礼だと言い、木箱に入った指輪を取り出した。
何でもドリアードであるエリューン様の一部を削り出して作った貴重な一品だそうだ。
【エリューンの指輪:精霊ドリアードであるエリューンの身体から作られた指輪。身に着けた者はエリューンの力を源とする精霊魔法を行使することができるようになる】
俺は指輪を左手人差し指にはめてみた。すると、
『個体名:奥田圭吾は【豊穣の祈り】Lv1を取得しました』
『個体名:奥田圭吾は【フォレストヒーリング】Lv1を取得しました』
『個体名:奥田圭吾は【樹木操作】Lv1を取得しました』
機械的なアナウンス音とポップアップする画面。久しぶりだな。
俺は新しいスキルを取得したのだった。




