k-390
自分で試してみてよくわかった。こんなもん可愛いターニャとアッシュにやらせられるか。
ということで、パニックワーム対策プランBの発動だ。
つまりパニックワームの皮でマスクで防ぐ方法の実験だ。
皮のマスクはもう作ってある。穴を開けて紐を通しただけのものだけどね。
【パニックワームのマスク:パニックブレスの毒素を中和してくれるマスク。錯乱耐性(中)】
出来はたぶん大丈夫だろう。
「誰か試してみたい人〜」
しーん。俺が手をあげて確認しても誰も手を上げてくれない。
まあそりゃそうか。みんなさっきまでの大惨事を見ていたからな。
「じゃあ仕方ない、俺が試すしかない」
パルナ解毒ポーションでコンディションを整えた俺は口にマスクをすると、毒腺の袋になってる部分をシュコシュコ。
サラサとユリナさんが止めに入るがもう遅い。
マスタード色のガスが俺の顔を覆ったのだった。
その結果、さっきは10人に分身したユリナさんがドッペルゲンガー状態に止まった。なかなかの結果だ。
皮を破って魔人が出てきた悪夢もそこまで酷いものではなかった。
大したことない幻覚に俺の精神も発狂するには至らずに錯乱状態は収まったのだった。
症状とマスクの有用性を紙に書き、ジェスチャーを交えて事細かく説明する俺。
周りが全員ドン引いているけど、そんなことは気にしちゃいられない。
これはあくまで敵への対策だからな!
そして俺は、このマスクをヴォルフスザーン領の住民にも配っておきたいと思った。
俺の頭に闘技場でのテロがチラついたからだ。
なのでマルゴとサラサにパニックワームの皮は売らずイトシノユリナに送り、またこちらの冒険者ギルドで調達もするように頼んだのだった。
……
異臭騒ぎも終わり気がつけばもう時刻は昼下がりとなっていた。
ラフィットさんの使いの兵士が豪邸にやってきて、オアシスの水辺で酒宴を開くと伝えてきたのだった。




