k-387
サルナンに到着すると、褐色肌にターバンという格好の兵士たちが俺たちを逗留先の宿に案内すると言ってくれた。
町に入ると目についたのは褐色の肌に目鼻立ちがはっきりとした人々の姿。レンガで組み上げられた建物と、カラフルな屋根のコントラストが美しい。
褐色肌の女性たちが、瓶に広大なオアシスの水を汲みターバンの上に乗せて運んでいた。
女性たちは皆日差しから肌を守るためか、男の視線を避けるためなのか顔や肌を布で隠していた。
大通りを行くと遠くで巨大な煙突が煙を吐いていたので、案内の兵士に何かと聞いたらレンガの工場だと言っていた。
他にも特殊シルクの工場の煙突や大通り沿いに開かれた市場、各国の商人たちが作った商館群が見えた。
ちょっと歩いてみただけでこれだ。これからの探索が楽しみだ。
そんなふうに思っていると、逗留先の宿に到着。これは宿というよりアラビア風の大豪邸だな。
兵士がラフィット様からの伝言です! と言って手渡してきた手紙には「今日のところはゆっくりと旅の疲れを癒したまえ! 明日我が家で歓迎の宴を開かせてもらうよ! チャオ!」と書かれていた。
相変わらず陽気な人だ。どうやらラフィットさんは仕事やなんやらで今手が離せないそうだ。
道中色々あって疲れていたので、こちらの言葉を喋れない俺は、兵士さんに「お言葉に甘えて休ませてもらいます」とジェスチャーで伝えたのだった。
◆
豪邸の中には天蓋付きのベッドのある部屋が用意されていた。夫婦一部屋、子供用の部屋まである。
ターニャとアッシュがベッドにダイブして「お姫様!」と大はしゃぎだ。汚れるからやめなさい。
料理人、使用人、マッサージ師もいるとのことで、金で飾り立てられた大理石の大浴場&サウナまであった。
なんつー成金趣味だ。
まあせっかくだし、砂と乾燥でジャリジャリになって乱れた体のコンディションを整えよう。
それから俺は大理石の風呂に浸かることにした。
手拭いは頭の上。ゆっくり湯気を含む綺麗な空気を吸ったり吐いたりして体を癒していく。
ペットOKとのことだったので、アッシュ、マペット、ツッチーも一緒に風呂で汚れを落とすことにした。もちろん頭の上にはタオルON。
ふう。
かぽーんと鳴る風呂桶の音。大人しくできないアッシュはすぐに泳ごうとするので、俺が後ろから抱っこ。
アッシュの三角のもふもふ耳がひくひくしていて可愛い。
図体が大きすぎて風呂に入れなかったビードラがテイムホテルの中で不満げな声を出しているので、後で庭で体を洗ってやると約束。
女風呂の方からターニャがアッシュを呼んでいるので、テイムホテル越しにアッシュを女風呂に送ってあげた。
すると向こうで、アッシュと戯れる女性陣の声が響いてきた。楽しそうで何より。
マルゴやジュノ、ホワイトさんたちも入ってきて、一緒に風呂に浸かった。彼らも糸のように目を細めて気持ちよさそうにしていたよ。
それからサウナ&水風呂、マッサージ師のゴッドハンドで体を整える。最高だ。
さらに料理人が作った美味しいインド風料理と酒のフルコースが俺たちを待っている。
至れり尽くせりとはこのことだな。
満腹状態で天蓋付きのベッドにダイブした俺は、すぐに夢の中に落ちたのだった。




