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戦いの中パニックワームはさらに仲間呼びを行い、新たにデッドリーアイアンスコーピオンという猛毒持ちの巨大サソリモンスターが2体が右から出現。
サラサやエルザ、アイリスたちが乗った非戦闘員の馬車目がけて突進してきた。
「マペット攻撃! ツッチー馬車を防御!」
俺は亜空間からモンスターを召喚すると、マペットを敵にぶつけつつ、ツッチーを非戦闘員の乗る馬車の防御に回すことにした。
少し前にマペットとツッチーは魂魄レベルが5でカンストした。結果、二体ともいくつかある選択肢の中からこちらで選び進化できるようになった。
マペットは樹木精狩人というモンスター、ツッチーは土精重騎士というモンスターに進化していた。
進化先にはもっとデカくてパワーのあるウッドゴーレムやストーンゴーレムもあったけど、パワーが必要な場合にはビードラを使えばいい。なので俺は魔法やスキルの多様さ、使い回しの良さをとることにした。
ツッチーは防御スキルの他、鉱物をゲットできるような便利系スキル。マペットは敵を捕獲したり翻弄したりするスキルを獲得し、中でも自分の命を代償に敵を封印する操人形牢獄というスキルを取得していた。
このスキルは一回きりの自爆技みたいなものなので使うつもりはないけど、モンスターを育てることで全く違う戦い方ができるようになるのだと勉強になった。
さっそくマペットとツッチーがデッドリーアイアンスコーピオンを抑えつつ馬車をガード。
だが逆の左側から今度はミリタリーデザートアントという巨大アリモンスターが3体出現。鉄を溶かすほどの酸を吐き、剣を折るほど硬い皮をもつモンスターらしい。
「ビードラ!」
こちらにはまだ進化には至っていないビードラを当てることにした。
さすが死の砂漠と言われるだけのことがある。テイミングモンスターがいなければ詰んでいたところだ。
結局俺は幌馬車の上に立ち援護射撃するユリナの横で戦況を見つつ、四方を囲まれた弱くなった場所に10体近くいるブルーウルフやテイムモンスターを差し向ける司令役をこなし続けた。
全員の頑張りがあり、怪我人は出たものの命を落とすことなく切り抜けることができた。
砂漠での戦闘で、俺のレベルも30から32に上がっていた。
倒したモンスターの素材は馬車の空きスペースに乗せられる分だけ積み込んだ。町で売れば少しは旅賃の足しになるからな。
ちなみにパニックブレスを吸って発狂したヒジンさんは何とか意識を取り戻した。命には別状ないみたいだ。
だが軽い禁断症状が出ており、本格的な依存症になったらあのブレスをシンナー中毒者みたいに吸うようになるのかと想像してしまった。
ヒジンさんには毒を完全に中和するために、しばらくパルナ解毒ポーションを服用してもらうことにした。
その後も、同じようなモンスターやアリジゴクモンスターといった珍しいのにも襲われた。
俺たちはその都度、機転を利かしてくぐり抜けた。
そしてようやくラフィットさんのお膝元、オアシスに作られたサルナンの街が見えてきたのだった。




