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そこからは、神槌の探索が始まった。
サラサやアイリス、ハインリッヒのツテ。王立図書館の学者に聞いたりもした。
交流先のトラキア商業国家連邦、精霊王国メキア、ガンド王国にも手紙を出した。
だが文章のやり取りだけではヒントも得られなかった。
三国からの手紙には「実際に来てみてはどうか」とお誘いの言葉が添えられていた。
せっかくだし、行ってみようかな。
領から出たくない引きこもり症候群な俺も、ここでようやく重い腰を上げたのだった。
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久しぶりの長旅と聞いてユリナさんは大喜び。ターニャとアッシュはもちろんテンションマックス状態。
こんなことなら、もっと早く連れて行ってあげればよかったかな。
俺は丁度ランカスタ王国に戻ってきていたハインリッヒ夫妻にお願いし、旅への同行をお願いすることにした。
旅のメンバーは俺、ユリナさん、ターニャ、アッシュ、サラサ、アイリス、マルゴ、ジュノ、エルザ、ハインリッヒ、それから護衛にヴォルフスザーン軍からホワイトさん、ヒジンさん、ゴッズさん、ミズチさん、ココリさん。
最近ようやく歩けるようにセトも連れて行こう。子供の頃の旅はいい経験になるからな。
メイド兼秘書のメアリーさんに執事のバーンズさん、うちのお抱えシェフのトクジュウさんといった使用人連中も一緒に連れて行く。
できれば自分達で飯を調達するのが長旅の醍醐味だと思うけど、流石に毎回全員分のメシを作るのは流石に厳しい。
セトも連れていくし、道中の快適さを考えても使用人はいてくれた方がいい。
もちろん飯を調達して、焼いて食うみたいなことは自分でもするつもりだ。
馬車を引くのはロシナンテ(馬)とメイクイーン(牝馬)。彼らとも久しぶりの長旅になるな。
荷台に物資や土産の品を積んだ俺たちは、南にある砂漠の国 “トラキア商業国家群” へと馬車を進めたのだった。




