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レアモンスター、レッドグリズリー。その睾丸はエギルの回復ポーションの素材となる。
現在絶滅が危惧されているのだが、その主たる原因を作ったのは紛れもなくポーションを開発したこの俺。
というのも、エギルの回復ポーションはもがれた腕を再生させる効果があるばかりではなく、寂しくなった頭をフサフサに、出産後の女性に飲ませるとダメージを負った身体を超回復させ全盛期を越えるプロポーションをもたらすことができる。
冒険者のような危険な仕事に就く者だけでなく、容姿に悩みを抱える人にとってまさに夢のような薬だった。
もちろん薬の素材や製法は秘密だ。
一部伝えた人もいるけど、神殿で秘密保持契約を結んだので漏れることはないと思う。
しかし、それでも需要はとどまることを知らない。
AGA治療にスーパー美容アイテムである。金に糸目をつけない貴族からの問い合わせが大津波となって押し寄せるのも無理からぬこと。
俺やキシュウ先生が一生懸命調合しているんだけど、全く生産が間に合わない。
部位欠損した重症の冒険者をどうしても優先してしまい、中々市場に流すことができないからだ。
冒険者ギルドにこっそり依頼を出してレッドグリズリーを狩ってきてもらっているんだけど、そもそもグリズリー種の中の突然変異レアモンスターだったりするので、そんなに数がないことも問題なのだ。
それに狩り続ければ、尽きることのない需要に絶滅しかねない。
そこで俺は考えた。《《熊牧場を作ろう》》、と。
イメージ的には北海道登別にある熊牧場である。
俺の頭の中には、熊が右手を上げて「熊牧場!」とラップ調で歌うCMが浮かんでいた。
まずはツッチーが採取した鉄で、熊を飼育する飼育場作りだ。
これはマルゴたち職人勢に頼んだ。
次にホワイトさんと彼が育てたモンスターテイマー部隊数名と一緒に、レッドグリズリーの出没情報のあった森へGO。
俺は遭遇したレッドグリズリーと金太郎よろしく取っ組みあって投げ飛ばして戦意を折る。
もちろん身体能力向上系のバフの重ねがけ、ベヒーモス装備のチート級の防御力あって賜物だ。
そして戦意を無くしたレッドグリズリーと、連れてきたテイマーたちがテイム契約を交していく。
レッドグリズリーは熊だけあり戦闘能力もそこそこ強く、テイマー的にも悪い話じゃないとのこと。
さらに探索を進めた俺たちはレッドグリズリーの寝ぐらを発見し、熊の親子を発見。レッドグリズリーの両親に子熊3体。
流石に親熊二体を相手するのはしんどいので、俺はビードラを出現させどうにかいなした。
こうして俺たちはレッドグリズリー6体の捕獲に成功したのだった。




