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セトが産まれた後、陛下や貴族たちがやってきて大変だった。
法衣貴族となったマルゴとジュノのところにもそれなりに申し込みが来ていたらしく、断るのが大変だったそうだ。
ヴォルフスザーン領は王国の中でも結構有望視されているらしく、貴族たちはここぞとばかりに許嫁話を持ちかけてきた。
うちのセトは既に第三王女ヴィオラちゃんと許嫁の関係となっているので、もちろんお断りをするんだけど。
彼らは二匹目のドジョウを狙ってか、「次こそはお願いします!」的なことを言い食らいついてきた。
意地でも我がヴォルフスザーン家と血縁を結びたいようだ。
それはそうと。
ユリナさん出産で万が一帝王切開があったような場合に備えて【エギルの回復ポーション】を準備しておいたんだけど、使わずに済んだ。
それを産後回復のために飲んでもらったんだけど凄い効果があった。
なんと元々妊娠したことでバストのサイズが3サイズは上がっていたところ、良いところはそのままに元々自慢だったウエストやヒップが元通りに。
いやむしろ前よりも磨きがかかりお肌もピチピチとなり、魅惑のプロポーションになったのだ。
それはサラサとエルザにも同じで。
商魂逞しいサラサは既に「奇跡の妊娠ダイエット法!」と宣伝に奔走しており、町中その噂でもちきりだった。
ただでさえ部位欠損ポーションは貴族のAGA薬として品薄状態なのに、女性御用達アイテムになるならその価値は青天井になりそう。
熊が絶滅しないか心配だ。
それはさておき、嫁の美しさに磨きがかかり嬉しいのは俺、マルゴ、ジュノの三人だ。
いつだったか夜男だけの時にたまにそういう話になるんだけど、ジュノはどちらかというと尻よりも胸派だと聞いている。
ジュノは劇場兼酒場で飲んでいた俺の右手を両手で握り、「ポーションを作ってくれてありがとう!」と涙ながらに感謝していたよ。
そんなにか? と思い、15メートル左前方でご婦人方に囲まれるエルザを横目でチラリ。
なるほど。確かに言われてみレバ幼児体型《《だった》》エルザが納得のプロポーションとなっていた。
熊の睾丸パワー恐るべし。
幼児体型からの変貌ぶりをみれば、その効能の凄さがわかるというものである。
エルザを囲み色めきだつご婦人方に、これまた抜群のプロポーションにさらに磨きのかかったサラサがポーションの効能を力説していたよ。
この分だと第二子誕生もそう遠い話じゃないな思うと同時に、熊を絶滅危惧種に指定しようか本気で考え込んだのだった。




