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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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k-359

 教会に到着すると既に多くの人が集まってくれていた。続いて正装姿のジュノとドレスアップしたエルザも到着した。



 祭壇に立つシャーロットさん。竜神グラシエスの信徒でもあるシエラさんが助祭としてその傍らで控えている。



 結婚式は貴族だからといって特別派手な演出はしないことにした。



 俺たち四人の前に立つシャーロットさんがグラシエス教の結婚観のようなものを読みあげている。


 誠実であれとか、不倫はだめとか割と異世界人の俺でも受け入れられるような倫理観だった。逆にゼラリオン教の教義がどうなっているのか気になるところだな。




 シャーロットさんが祈りを捧げると、教会中に聖なる気配が満ちた。


 パイプオルガンに祈りを捧げる声が教会の中に静かに響いている。



 そして誓いの儀式を執り行うと彼女は宣言した。



 シャーロットさんがランカスタ語で「愛することを誓いますか?」と聞く。俺は「はい」と答える。


 夫婦の誓いに関する神前での問答を繰り返す。


 最後に俺とユリナさんは神様の前で誓いのキスをして契約完了だ。


 キスの瞬間茶化されるかと身構えていたけど、茶化しは入らなかった。流石は神前。



 続いてジュノとエルザの宣誓と誓いのキスが行われた。


 静かに淡々と……。


 しかし熱烈なキスが交わされた瞬間、会場から「ギャーー!」と叫び声が上がり誰かが担架で運ばれていった。一体なんだったんだ。



 それから新婦となったユリナさんとエルザが投げたユリファのブーケが式場に舞った。それをキャッチできたのは猫獣人のアイリスとウチで雇っているメイドのメアリーさんだった。


 そういえば二人はまだ独身だったはず。


 上司の俺が「彼氏いるの?」と聞くとセクハラになりそうなので聞いてないけど、どうなんだろう。




 その後、町を挙げての祝賀パーティが行われた。


 そこで改めて舞台を設け、マルゴ、ジュノ、サラサ、ザックの法衣貴族の授与式を敢行した。


 俺がゲルニカ陛下の代理をやることになっていたのだけど、結婚式にきてくれた陛下が急遽直接儀式を行なって下さることに。


 気軽に構えていた4人はガチガチに緊張していたよ。



 その後のパーティでは牧畜バトルブルのステーキ、しゃぶしゃぶ、すき焼きフルコースが振る舞われた。


 日本で取引先を接待した時とってもお高い和牛を食べたことがあるが、それも込み込みで全く味わったことのない極上の美味さだった。



 それは食べた全員が思ったようで。



 初めてフルコースを食べたアイリスが「ケイゴちょっといいかにゃ? このお肉のことで相談があるのにゃ」みたいなことを、目をギラつかせて言ってきた。


 猫だけにお魚さん以外は興味ないのかと思っていたけど、そうでもないらしい。



 そこへサラサが割って入る。


 「あーらなんか泥棒猫くさくないかしらあ? 育ちの悪い猫さんがどこかに隠れているみたい」的なことを言う。


 アイリスが「な、な、なんにゃって!! サラサいい度胸だにゃ。オモテへ出ろだにゃ!!」的な返し。


 いつもの喧嘩が始まった。


 頭の切れる商人だと思ってるんだけど、普段の二人を見ているととてもそうとは思えない。


 アイリスの顔が沸騰したヤカンみたいになってる。


 さらにサラサは「あらアイリスこんなところにいたの。うっわ小っさ。小っさすぎて視界に入らなかったわ。ステーキをお情けで分けてあげようと思ったのに残念ね。あなたの分はもうないわ」的な罵詈雑言。


 さらにサラサはなったばかりの貴族の権威を振りかざしだす始末。サラサ、それじゃ一昔前のバイエルン様と変わらんぞ?




 早口の罵倒の応酬だけど随分と聞き取れるようになったもんだな、と第三者の視点で自分を俯瞰し自己分析を始める俺。


 またの名を現実逃避ともいう。



 心の安寧のためにはこんなクソみたいな罵詈雑言の応酬など聞き取れない方が身のためなんだけどな。

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