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結婚式準備が女性陣を中心に着々と進む中、俺は俺で領地運営やその他諸々のやるべきことが沢山あった。
まず手をつけたのは、ゲルニカ陛下から与えられた法衣貴族の任命権をどうするかということだった。
ヴィオラちゃんを救ったことで準子爵から子爵に地位が上がった俺は、陛下から自分の部下から4名法衣貴族を任命し寄親になるようにと言われている。
放置すれば失礼にあたることは明らかだ。
ちなみに法衣貴族とは王国から領地は与えられないけど生活できるくらいのお金は出ると言う身分制度であり、大貴族が部下に与える褒美としてよく使われるものらしい。その部下に褒美を与える権利自体が大貴族に対する褒美というわけだ。
ということで部下を法衣貴族にしたところで寄親から独立することは許されておらず、部下がいなくなるという心配はない。
なので単純に部下に対する名誉とお金をセットで渡す褒美という意味合いが強い。
そして法衣貴族の任命候補だが、俺の中でまず上がったのは、ジュノ、マルゴ、サラサの3人。領内でのポジション、役割的にも軍のトップ・職人のトップ・財務のトップということで申し分ないからな。
次に候補として上がったのは冒険者ギルド長をやってくれているザック。
4人を集めて聞いたら、4人とも喜んでくれた。
というよりも、大商人を目指すサラサにとっては欲しい身分だったみたいで狂喜乱舞していた。
丁度よかったので俺は4人にお願いすることにした。
ジュノには引き続き軍のトップとして領地を守ってもらいたいこと。
マルゴには職人連中のトップとして縁の下の力持ちとなって欲しいことや、最近話に上がっていたツッチーが発見した鉱山に町を建設するプロジェクトを頑張ってほしいこと。
サラサには、町のお金を預かる重要な仕事を頑張ってほしいこと。
ザックには、東の港町サンチェスを発展させるプロジェクトを任せ、頑張ってほしいと伝えたのだった。
4人とも胸を叩いて「マカセロ!」と言ってくれた。
そして貴族の任命式は結婚式と一緒に執り行うことになった。
未婚のザックは任命式の場で公開で今付き合っている彼女にサプライズでプロポーズをしたいと言い、俺たちはちょっとだけ驚き、それから口々におめでとうと言ったのだった。




