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王族書庫の中は、早朝にも関わらず研究者と思われるロング丈に金の刺繍が施された白い服をまとった人たちがちらほらと見受けられた。
室内の空調湿度諸々の維持管理をしている女性司書さんに聞いたところ、この人たちはそれぞれの分野で王国トップの研究者なのだそうだ。
設置されたドリンクバーでミックスジュースを頼むと、見たことのない生フルーツを氷と一緒にミキサーで絞って出してくれた。
美味い。瑞々しいトロっとした甘味を帯びた冷たい液体が乾燥していた喉に染み渡る。
貴重な本がある場所でジュースなんて良いのか? と聞いたところ、防水魔法をかけてあるから大丈夫とのことだった。
サンドイッチやケバブなどの軽食も出しており小腹がすいていたので頂くことにした。
子爵軍はまだまだ敵国の警戒の任で王都付近に待機していなければならず、正直時間には余裕があった。
また王族の書庫には王族用の風呂つき個室が併設されており快適に寝泊まりでき、その施設の利用も陛下から許可を得ていた。
流石は王族が利用する施設で、その他にも各種使用人的なサービスが充実していた。
なので俺はサービスを利用して邸宅に伝言を頼み、その日から泊まり込みで王族書庫にこもることにしたのだった。




