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陛下がくれたサプライズプレゼントの一つ目は【王立図書館にある王族と王族が認めた者以外立ち入り禁止の書庫への立ち入り権限】だった。
その禁書庫のは王族書庫と呼ばれており、図書館の地下深くにあるそうだ。
「霊薬を作成できるような者こそ自由に閲覧して然るべき」と言って、お認め下さった。
二つ目のプレゼントについては、渡す前に陛下は「女人子供は禁制である。人払いを」と言って、男性以外の人払いをなされた。
そして陛下は何かの薬らしきものを俺に私、第三王女ヴィオラちゃんと、まだ見ぬ未来の俺とユリナさんとの子を許嫁の関係にする! と宣言なさった。
陛下は「どうかね?」と俺に意見を聞いてきたが、諸侯貴族が見守る中、拒否することなどできるはずもない。
俺は一瞬も迷うことなく秒で同意したのだった。
まだ名前も考えていないまだ見ぬ未来の息子には、一言だけ「すまん」と心の中で謝っておいた。
まあ、ヴィオラちゃんはきっとイザベラ様に似てとんでもない美女になるに違いない。
世の非モテ男子からすれば、むしろお姫様と結婚できるなんて羨ましいだけのはずなので、むしろ感謝されるべきことなのかもしれない。
というわけで、許嫁の覚書らしきものにサインした陛下は俺にもサインを要求。陛下と俺のサインが入った許嫁の覚書が二枚作成されたのだった。
陛下は諸侯貴族(男限定)が見守る中、書類を書き終えた俺に渡された薬らしきものを指差した。そういえばこれなんだ? 鑑定っと。
【ヴァギラ媚薬:珍獣ヴァギラの睾丸、インカ草、ニンニクなど単品でも精力剤としてつかわれてる素材を、さらに乾燥させ魔力で練り上げ調合した超強力な精力剤として仕上げた丸薬(効果極大)。絶大な効果を得られる反面副作用が強く、少しだけ寿命が縮む】
薬から視線を上げると貴族たちがギラギラとした物欲しそうな目で俺の手にある薬を見つめていた。
どうやら貴族にとって後取りを作ることが最も大切な仕事というのは本当らしい。
俺は寿命が縮めてまで薬に頼ろうとは思わないけど、一応空気を読んでもらっておくか。
俺はランカスタ語で「アリガトウ」と言ったのだった。
すると陛下は穏やかな微笑みを湛えながら、お下品なハンドサインを俺に返してきた。
どうやら「子作りがんばれ」的な意味っぽい。
他の貴族も次々と穏やかな笑みを湛えながら俺にお下品なハンドサインをキメてきた。
俺もお下品なハンドサインをキメるべきか迷ったけど、どんな意味があるのかわからず失礼に当たってもいけないので、アリガトウと言い深くお辞儀するにとどめたのだった。




