k-334
あれはダメだ。
その場の全員の顔が絶望の色に染まった。
おそらく防御スキルで防ぎきれるものではないし、グラシエスノヴァをあてても無意味だ。
そう思えるだけの、圧倒的なエネルギー。
もはやダメかと思われたそのとき、ターニャが血の色をした太陽の前に立ちはだかり次元異相切断を放ったのだった。
頭に響くような大きな不協和音を響かせ、邪血太陽が蜘蛛の巣状にひび割れた。
しかし、太陽のエネルギーを完全に打ち消せたわけじゃない。
バラバラに割れた太陽は、流星のごとく地面に降り注いだ。
「ビードラ! 魔獣竜のオーラでガードしろ!」
俺はベヒーモスのビードラを目の前に召喚し【魔獣竜のオーラ】を使用させた。
竜に相応しいだけの巨躯に成長したビードラは俺たちの前に立ちはだかり魔獣竜のオーラを発動、隕石と化した邪血太陽に体当たりしたのだった。
魔獣竜のオーラは秒数制限クールタイムのある一定時間だけ無敵状態になるガードスキル。使いどころはここしかない。
大爆発と巻き起こる爆風。
ビードラは物凄いエネルギーを受け止め無事に防ぎきることができた。
ビードラが防ぎきれなかったエネルギーは、ベヒーモス防具の特殊スキルである【オーラ】というキーワードを唱えることで、15秒間だけ殆ど完全防御に近い状態になれるというものを使用し、後ろにいる人たちの身を守った。
そして、直撃コースにいた俺たちも何とか助かることができたのだった。
上空を見ると、邪血太陽の余波を受け傷だらけになったターニャがハイヒール、解毒、解呪を使って、自己治癒をかけつつ、ヴァーリ本体を睨みつけていた。
アッシュ、マペット、シエラさんは残り僅かとなったヴァーリの分身体に足止めをくらっている。
俺はヴァーリ本体に向けグラシエスノヴァを放とうと、牙を向けた。
ヴァーリ本体は切り札の邪血太陽を切り抜けられたからなのか軽く舌打ちをした後、影分身で分身体を新たに5体召喚。
ターニャやアッシュたちに向けて差し向けた。
そして本体の方は何か捨て台詞的なことを言ったかと思うと、遠くの方に飛び去っていったのだった。




