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「〇×、エギルポーション▽×△◆??」
ヴォルフスザーン準子爵軍とランカスタ王国軍との合同訓練を見ていたハインリッヒが何かに気が付いたようだ。
例の部位欠損ポーションのことについて何かを言っているようだった。
ハインリッヒにどういうことか話を聞いてみると、彼が言う人物には確かに不自然なところがあるように思えた。
その人物にアッシュの悪意感知を使わせてみたけど反応はなかった。なので確証はない。
だけど一応監視対象に入れておくことにした。
そこでホワイトさんを呼んだ俺は、ハトをその人物の監視に使えないか聞いてみた。
するとホワイトさんは【スパイ・ダー】という名のスパイ蜘蛛を取り出し、これに監視させると言ってきた。
スパイ・ダーは子蜘蛛を使って使役主に情報を伝達させることのできる、なんとも便利なモンスターとのことだった。
その他に訓練を見ていて怪しい人物はいなかったが、念のためスパイ・ダーの子蜘蛛を軍内にばらまき監視を強めることにした。
しばらく泳がせてみて怪しい動きがなければ、それはそれで勘違いだったで済むことだからな。
◆
しばらくして敵方に動きが出た。
現状国境の要衝であるバラン砦を押さえられたことが敵軍の橋頭保となってしまっているのだが、敵はそバラン砦の門を解放し撤退し始めたという情報が飛び込んできたのだった。
そして、時を同じくして監視対象の人物にも動きがあった。
スパイ・ダー経由でホワイトさんに情報が入ったのだ。
どうやらその人物は、敵軍の誰かと通信をしているようだった。
会話の内容はバラン砦の各所に抜け道を作って防御力を弱めランカスタ王国軍誘い込み、その人物が戦力を率い背後から挟み撃ちにしようという敵の作戦に関するものだった。
俺はすぐにホワイトさんと一緒に王城に赴き、ゲルニカ陛下と王国軍参謀長のシルフィードさんに事の顛末を報告したのだった。




