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ホワイトさんら軍のメンバー、サラサやマルゴ、ブラードさんら町の運営に関わる人間、冒険者ギルド(イトシノユリナ支部)マスターのザックを呼び集めた俺は、すぐに軍を編成し、王都に出発することにした。
ザックは元々レスタの冒険者でバイエルン様からの推薦もあって、イトシノユリナで冒険者たちを束ねてもらっている。
現在のところ、ヴォルフスザーン男爵軍は全体で300名程度となっていた。
そのうち第二軍をイトシノユリナに残し、一軍と三軍を引き連れて王都に向かうことに。
第三軍は昨日出発したばかりで近くに駐留しているため、後で合流することに。(ハトで連絡)
また今回は非常時なので協定により冒険者を町の防衛のためであれば軍に組み入れることができた。
協定では、モンスターに町を襲われたときは冒険者は軍と協力してモンスター討伐をすることになっている他、有事で軍が町を出なければならない場合には、冒険者は町を守護するために軍に協力することになっている。
つまり、町に残る第二軍であれば冒険者を軍に組み入れることが可能ということになる。
そこで第二軍の正規兵50名だけを残し、50名を冒険者から徴兵することにし、100名の兵士に町の防衛を任せることにした。
元々いた第二軍司令官に加え、冒険者ギルマスのザックを副指令としサポートをお願いしたのだった。
さらに、第二軍から抜けた50名の正規兵は第一軍と第三軍にふりわけ、両軍合わせて正規兵250名、有志の冒険者10名合わせて260名の軍勢にした。
第一軍の司令官はハト通信で連係のとりやすく頭も切れるホワイトさん。第三軍の司令官は兵からの信頼が篤い重盾戦士のゴッズさん。総司令は俺、副総司令にジュノとマルゴということにし、軍を再編成したのだった。
有志の冒険者の中には、普段魔法の指導にあたってくれているハン先生やレスタにいたときに世話になった冒険者たちもいた。
ターニャ、アッシュ、シエラさん、ビードラ、ツッチー。そしてスリングショットが板についてきたユリナさんも軍に加わり、最終的に260余名の軍勢となった。
ユリナさんの同行には反対だったんだけど、ターニャとアッシュが心配な彼女に押し切られてしまった。
麻痺弾が強力な彼女のスリングショットは正直馬鹿に出来ない戦力になる。
それにベヒーモス素材のドレスアーマーを着ていれば、ちょっとやそっとの攻撃など弾いてしまうからな。
それに彼女は、「守られているだけじゃ嫌だ」と言った。
気持ちを理解した俺は、彼女を連れていくことにしたのだった。
急遽編成された260余名のヴォルフスザーン男爵軍は、住民に見送られ、一路王都ラースティンへと出発したのだった。




