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「「ケイゴサマ……!!」」
何人かのヴォルフスザーン男爵軍の兵士が騒ぎを聞きつけてやってきたので、シャーロットさんを診てもらうためにキシュウ先生を呼びに行ってもらった。
とりあえず俺は、テイムホテルに収納していた体力回復ポーションをシャーロットさんに飲ませた。
それからテイムホテルの中に念のため入れていた布団一式を取り出し、シャーロットさんを寝かせた。冷たい床よりはマシだろうからな。
辺りを見渡すと教会のあちこちが破壊されていたが、幸いケガ人はいなかった。目撃者もいないようで良かった。
豹変したシスターの姿を見てしまうと、市民の混乱は避けられないだろうからな。
「ダンシャクサマ……、××、シンゾウ、〇△△!」
すると満身創痍のシエラさんが、ゼラリオン教の神像の前まで行き、俺に手をかざしてください、というジェスチャーをしていた。
どうやら神像を清めろと言っているようだ。俺はゼラリオン教の神像に “竜神の聖光” をかけることにした。
すると瘴気のような “何か良くないもの” がにじみ出てきては霧散したのだった。
続けて俺はシエラさんに促され、瘴気が消えた像に “竜神の聖域” をかけてみることにした。
すると像が竜のような変形し、神聖な光を放ち始めたのだった。
『個体名:奥田圭吾は竜神の聖域Lv2を取得しました』
像を鑑定してみると、像の半径15メートルはモンスターの侵入ができない、もしくは侵入できても著しくステータスを下げる効果があるとのことだった。どうやら聖光は浄化、聖域は神を模した像に聖域効果を付与するスキルのようだ。
ちなみに鑑定によれば “竜神の聖域” はスキルレベル1で半径10メートル、聖域効果(小)。スキルレベル2で半径15メートル、聖域効果(小)みたいな感じで少しずつパワーアップしていく仕様になっているとのこと。
街道とか馬車とかに像を設置したらモンスター避けに便利そうだなと、色々アイデアが湧いてきたり。
そして、“竜神の聖光” もスキルレベルで浄化パワーが上がっていくようだった。
像についてあれこれ考えていたらキシュウ先生がやってきた。
キシュウ先生は医療カバンを置くと、シャーロットさんを診てくれた。
キシュウ先生は数種類の薬を調合して瘴気による精神錯乱を落ち着かせる薬を作り、シャーロットさんに飲ませてくれた。
すると真っ青だったシャーロットさんの頬に赤味が差し、顔色が良くなった。
もう大丈夫だろう。
それからキシュウ先生は、念のため聖域の中で寝かせておけと言った。
その後俺たちは、シャーロットさんほどではないにせよゼラリオン教の影響をうけていると思われるシスターたち全員に “竜神の聖光” をかけることにした。
シャーロットさんのように気絶するまではいかなくても、錯乱する人にはキシュウ先生の薬を与えて落ち着いてもらった。
そして治療を施したシスターたちには、一晩聖域の中で過ごしてもらうことにした。
聖域内にいるシスターたちに何かあってはいけないので、キシュウ先生に一晩ついてもらうことにしたのだった。




