k-314
教会にやってきた俺とシエラさん。
教会のドアを開けると、シャーロットさんが教典を胸に抱き、神像に祈りを捧げていた。
「〇△〇、〇◇?」
シエラさんが、シャーロットさんに言葉を投げかけた。
そしてシエラさんは、振り向いたシャーロットさんと何かを話し始めた。
次第に険のんな目つきになっていくシャーロットさん。俺の脳裏に例のアレがチラいた。
「ケイゴオクダ。リュウジンノノセイコウ!」
シャーロットさんが善であれば、むしろ肩こりがとれるような代物だ。大丈夫だろう。
俺は、竜神の聖光をシャーロットさんに向けて発動した。
蒼く優しい光がシャーロットさんに降り注ぐ。
しかし、シャーロットさんのもつ教典が急に禍々しいオーラを発しはじめた。
シャーロットさんは周囲にバチバチと赤黒い放電を走らせながら、教典と一緒に宙に浮かびあがりはじめた。目も怪しく光っている。
するとシャーロットさんは、ゴウ! という音とともにエネルギー波を空中から連打し始めた。
「ビードラ! ツッチー! ガード!」
俺はテイムモンスターを呼び出し防御。
ツッチーは土壁でガード。土壁では防ぎきれない攻撃はビードラが魔獣竜のオーラを使って捌いて行く。
シエラさんの方持ち前のスピードで回避できているようだ。
そうこうしている間に教会のあちこちが破壊されてしまった。
シエラさんはシャーロットさんの攻撃を回避しつつ、俺に向かって竜神の聖光を使えと叫んでいる。
その後風を纏い幻影を創り出したシエラさんは、目にも止まらぬスピードでシャーロットさんに肉薄。
剣で教典を攻撃。
教典が激しく放電して抵抗、苦痛に顔を歪めるシャーロットさん。
教典からのエネルギー波を受けて吹き飛ばされ、壁に体を打ち付けられるシエラさん。
シャーロットさんの意識は今完全にシエラさんに向いている。
今が好機。
それまでツッチーに土壁をランダムに発生させていた俺は、土壁に身を隠しつつシャーロットさんに近づいていく。
そして土壁から飛び出した俺は竜神の聖光を発動。シャーロットさんに優しい光が降り注いだ。
金切声を上げるシャーロットさん。
すると何かに激しく抵抗するかのように、教典がさらに激しく放電を始めた。
シャーロットさんが体をのけぞらして金切声を上げる。
教典が俺にエネルギー波を放ってくるが、ツッチーとビードラのガードがそれを阻んだ。
「頼むぞ……」
俺はスキルに精神を集中させながら、そうつぶやく。
しばらくすると教典からの放電もなくなり、糸が切れたようにシャーロットさんが落ちた。
『個体名:奥田圭吾は竜神の聖光Lv2を取得しました』
近くにいた俺は、落ちてくる彼女を何とか受け止めたのだった。




