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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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k-302

 馬車での道中、結婚式プランAのプレゼンも中盤にさしかかり、プランBのプレゼン内容を頭の片隅に意識し始めた俺はハタと気がついた。



 嫁が旦那の浮気に気が付くのは、キャバクラの名刺や口紅の跡みたいな “あからさまな物的証拠” などではなく、大抵旦那が普段と違う行動をとっている場合が多いと聞く。やけに饒舌だとか、優しいとかな。



 つまり、理路整然と「結婚式にはプランAからプランEまでありましてえ~」、などと胡散臭い営業マンみたいなセールストークをかましてしまうと、やましいことがあるんじゃないかと逆に疑われるおそれがある。



 拙いけど俺なりに精一杯考えましたみたいな素朴感を出した方が、逆に好印象のような気がしてきたぞ。



 そもそも結婚式なんぞ嫁と女連中が勝手に盛り上がって、自分の夢や願望を盛りに盛りまくるのが普通なのだから、俺があえてプランを考えるまでもないのだ。



 ただあまりに無関心に見えると、嫁がキレるからそこは要注意というくらいのもんで。



 よし、方針転換だ。ディフェンス重視、 “さくせん いのちだいじに” でいこう。



 俺はプランBからEを破棄し、プランAを前々から俺なりに精一杯考えてみたんだけどどうかな? とジェスチャーでサラサとユリナさんに伝えた。



 するとサラサは「わかってないわねえ~? 男はこれだから……」的な雰囲気となりダメだしを始めた。



 いいぞ、しめしめ。



 ユリナさんはユリナさんで、ドレスは自分で作りたいだとか、色はこれがいいとか、アッシュとターニャも目立たせたいだのと希望を言い始め、二人は大いに盛り上がったのだった。



 どうやら危機は回避できたようだ。



 あとは適当に相槌を打ちつつ、余計な口を挟まないことに徹すればいい。



 俺はアッシュ、ビードラ、土精に魔竜晶を与えて心の癒しをもらいつつ、ほっと胸を撫で下したのだった。



 大抵女性はこのパターンのトラップを仕掛けてくることが多いので、世の女心が理解できない男性諸君には是非とも参考にしてほしいと切に願う。



 斜め向かいに座る既婚者のホワイトさんが「お互い嫁には苦労するな」的な苦笑い&視線を送ってきたので、俺も「同意です」と苦笑いを返しておいたのだった。

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