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大人しくなった土精を目の前にし、ホワイトさんは俺に土精をテイミングすることをすすめてきた。
本当なら自分がテイミングしたいけど枠の空きがないとのこと。
本当に悔しがっているように見えた。
土精は近づくのが危険なモンスターであるため、このように怯えているような状況は珍しく、土魔法も使えるので所持しておいても損はないそうだ。
ちなみに一度モンスターをテイミングしてしまうと、そのモンスターが死ぬまで契約解除をすることはできない。
枠を空けるためにモンスターをわざと始末した輩もいたそうだけど、どういうわけか故意にモンスターを始末した場合テイミングスキルが二度と使えなくなったらしい。
モンスターと心を通わせるのが大事ということなのかも。
つまりよほどのことがない限り、一度契約したモンスターとは長い付き合いとなる。
こういうことは吟味して決めたいけど、そうそうある機会じゃないというのも解る。
悩んだ挙句、土精をテイムコレクションに加えることに決めた。
俺の意思を汲んだホワイトさんは、例によって黄土色に光るインクで泥団子みたいな形をした魔法陣を描き、土精の前に置く。
俺はそこに自分の血を一滴たらす。
そして、土精がその上に乗ったタイミングで俺に契約文言を耳打ち。
俺はビードラのときにしたように魔力を右手に込めつつ、土精に向け文言を復唱。
するとインクの文字が土精に吸い込まれ、俺の額と土精の間に黄土色の光がつながった。
【土精(Lv1、魂魄Lv1、種族土小精霊):体力25、魔力31、気力29、力17、知能28、器用さ16、素早さ19。保有スキル、水分吸収Lv1。保有魔法:土弾Lv1。契約者:奥田圭吾】
どうやらこれで契約が完了したようだ。
俺たちは引き続き東の海岸を目指すことにした。
土精はまだテイムホテルを覚えていないので、一緒に馬車に乗せた。両手で抱きかかえられるくらいのサイズなので、全然余裕だった。
さてさて、ハプニングが片付いたところで懸案事項を解決せねばなるまい。
俺は土精に魔竜晶のカケラを与えつつ(ホワイトさん曰く鉱物なら何でも食うらしい、むしろ鉱物が主食)、サラサとユリナさんの信用を取り戻すべく、考えた結婚式プランを発表することにしたのだった。




