k-296
翌朝外に出ると、朝日が眩しく絶好の狩日和だった。
俺は目覚ましに冷たい水で顔を洗ってから、アッシュとビードラがじゃれ合う中、軽く剣を振って体を慣らす。
それからお寝坊さんのターニャと一緒にメイド兼秘書のメアリーさんが用意してくれた朝食をとった。
朝食後は狩の準備だ。
俺はアッシュとターニャにマルゴが見繕ってくれた即席の皮鎧を装備させてみた。(まだ弱いビードラにも念のため着させた)
ふむ。ちょっとダボダボしていて、鎧に着られているという感じだ。
ないよりはマシだろう。
それからホワイトさんたち護衛チームが迎えにきてくれたところで出発することにした。
今日の所は低レベルの狩ということで、町周辺のモンスターを狩ることにした。
この辺の草原にはグラスゴブリン、グラスオーク、グラスボア、グラススライムといった草原系の雑魚モンスターが出没する。
今回はユリナさんや足の遅い子供がいるので、馬車で索敵しつつ見つけ次第殲滅しようということになっている。
馬車はヴォルフスザーン男爵軍の軍用馬車だが、引くのはうちのロシナンテ(馬)とメイクイーン(牝馬)だ。
馬車の揺られること小一時間、さっそくグラスゴブリンの群れを御者台に座るゴッズさんが見つけた。
軍用馬車の射手用台座に上がったユリナさんがイーグルアイを発動し、スリングショットに麻痺弾を装填して構える。
距離400メートルの位置から、必殺のイーグルパパライズショット(命名俺)を放った。
「キバク」
ばふぉ
ユリナさんがそう言うと、グラスゴブリンの群れの真ん中頭上で麻痺弾が炸裂。
グリーネ麻酔草を乾燥させた麻痺粉が煙のようになってグラスゴブリンたちを包みこんだ。
麻痺粉の煙が晴れるとそこに立っている者はなく、6匹のゴブリンが地面に倒れピクピクと痙攣していた。
「こりゃ、初心者のパワーレベリングにはもってこいかも……」
危険のないことを確かめた俺は、ターニャ、アッシュ、ビードラにそれぞれ二匹ずつグラスゴブリンに止めを刺させたのだった。




