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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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 世界一可愛いアッシュがターニャと契約したことで、俺はリストラされたサラリーマンのように備え付けのブランコに腰掛け、そこはかとなく哀愁を漂わせることとなった。


 だってアッシュはこっちの世界に来てからずっと一緒にいた相棒。ターニャとの契約は、とられたみたいで非常に寂しい気持ちになったのである。


 「ズーン」という音が聞こえそうなほどわかりやすく落ち込む俺を見るに見かねてか、ホワイトさんは「魂の結びつきが強い者なら、テイムモンスターの共有というやり方もあるぞ?」と教えてくれた。俺の顔がとたんに華やぐ。


 実際にはメインの契約者であるターニャとアッシュのつながりに、サブのパスを通すみたいなことらしいと説明されたのだが、俺にはさっぱりだ。


 とにもかくにもアッシュと身も心もつながっていたい俺は、ホワイトさんに儀式をお願いすることにした。


 儀式は、ターニャがやったそれとは似ているものの、使っている魔法陣と契約の形態が異なっているとのこと。


 アッシュの頭に手を置いて、ホワイトさんに言われた通りの言葉を口にして契約完了。ターニャの時に巻き起こった激しい光のようなものは生じず、淡い発光に留まった。


 自分のステータスを見ると、すみっこの方にちゃんと【契約獣魔:アッシュ(サブ契約)】と表示されており、俺はアッシュを抱っこしながら鼻を膨らませて何度も頷いたのだった。




 それはそうと、サラサの提案の内【①ターニャとアッシュに従魔契約をさせ、勇者覚醒させる】はミッションコンプリートしたことになる。



 次は【②いざという時に備えて訓練をする。武器防具もそろえる!】なのだが、これはターニャとアッシュの修行(狩)に俺が付き添うことになった。



 そしてアッシュとターニャを猫可愛がりするユリナさんも、「ワタシモイクワ!」と言いだして一緒に狩に行くことに。



 あと狩には男爵軍からホワイトさん、タンク役のゴッズさん、ヒーラーのミズチさんが護衛についてくれることになった。



 あと狩の装備をどうするかだけど。



 まず防具はマルゴに適当に見繕ってもらうことにして、ターニャの武器にミスリル製の【宝剣デルムンド】を与えることにした。(アッシュの武器はとりあえずなし)



 【宝剣デルムンド】は以前陛下からもらったもので、倉庫の肥やしになっていた一品だ。


 サイズは大人用のロングソードサイズなので子供からしたら両手剣バスタードソードみたいに感じるかもしれないと思ったけど、もたせてみたら大丈夫そうだった。



 性能は、【宝剣デルムンド:希少金属ミスリルで作られた剣。ガンド王国の刀匠デルムンドの銘をもつ一振り。使う者の実力によって攻撃力が変わり、実力者が使えば岩を割るほどの斬撃を飛ばすこともできるとの逸話がある。別名成長する剣】となっている。



 俺程度の実力では装備しても攻撃力がヘルファイアソードくらいにしかならず、斬撃も飛ばせなかった。



 でもターニャがもつと攻撃力は+69と表示された。



 ターニャが斬撃を飛ばせるかは別にして、ヘルファイアソードが+25、コボルトキングソードが+87ということを考えれば十分だろう。



 ターニャ自身の成長で武器の攻撃力があがることを考え、しばらくこの武器を使わせてみることにした。




 さて、明日から二人の狩を頑張らないと。


 俺も小屋で一人でサバイバルしていた頃の初心に返って自分を鍛えよう。


 サラサの提案③【ターニャとアッシュ以外も、一緒に戦えるように強くなる!】だ。


 ターニャとアッシュが強敵と戦うなら高確率で俺もその側にいるだろう。俺もまだ死にたくはないからな。




 方針が決まったところで、それからは祝い酒だと言ってバフンウニを肴に全員が飲み始めた。(ターニャ・アッシュ・ビードラは仲良くベッドの上で夢の中だ)


 

 俺はムレーヌ解毒草のスープを出し、今日のところはお開きとしたのだった。

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