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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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 サラサは商人になるために親父さんの蔵書コレクションを小さい頃から読み漁って、わからないことは商業ギルドの商人たちを質問攻めにするという毎日を送っていたそうだ。



 そこには勇者に関する話もあったそうで。



 人間の敵であるモンスターの王を魔王という。



 魔王を人間が討伐するのは不可能であり、唯一倒せるのが勇者だとされている。


 近年魔王の存在は確認されていないが、古文書から過去確かに魔王と勇者が存在していたことがわかっているというのが通説なのだそうだ。



 一番最近では(といっても100年以上前だけど)、樹木神の加護を受けた勇者が存在した。


 その勇者は巨大な神獣を連れて旅をしていたが、いつの間にか消息を絶ってしまったというような話になっているそうだ。(うろ覚えだけど……、とサラサは付け足した)



 「強くて便利」くらいの話ではすまなそうだな。



 勇者がいるということは、対となる魔王もいるかもしれないとのこと。


 魔王がいて勇者だとバレればターニャとアッシュ、そして周りにいる人間も危ないかもしれない。





 当然リアリストのサラサが単に「危ない」と警告するだけのはずもなく、彼女は具体的なアクションプランを提案してきた。


 それは、



①ターニャとアッシュに従魔契約をさせ、勇者覚醒させる!


②いざという時に備えて訓練をする。武器防具もそろえる!


③ターニャとアッシュ以外も、一緒に戦えるように強くなる!



 というものである。



 最初は【ターニャとアッシュが魔王と戦わなければならない】という衝撃的な事実に卒倒しかけていたユリナさんも、サラサにそう言われ「いざという時のためね……」と了承した。



 確かにサラサの言う通り、これしかないのかもしれない。まだ襲ってくると決まったわけじゃないから、念のためってことで。



 俺はホワイトさんにターニャとアッシュの従魔契約をお願いすることにした。



 当のターニャとアッシュは未だに何のことかわかっていないようで、俺とホワイトさんを交互に見上げるばかり。



 俺は一人と一匹の頭に手をおき、



「大丈夫」



 と言ったのだった。



 俺も本心ではターニャとアッシュに戦いをさせたいなんて思ってない。だけど、襲ってくる敵がいるなら生き残るために最大限の努力をする。


 それが肌感として常識になっていた俺は、心を鬼にして二人を強く育てようと誓ったのだった。

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