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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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k-292

 ホワイトさんは「もしかしたら里で保護した子供の中に勇者がいるかもしれない」

というようなことジェスチャーで伝えてきた。



 アッシュの鑑定結果にあった導き手とか勇者云々のことだ。


 鑑定結果にそう出ている以上、可能性はあるというのはその通りだと思う。



 確かに今まで保護した子供を鑑定することはなかったので、試しに一度全員鑑定して勇者かどうか確かめつつ、記念にステータスカードでもプレゼントしてあげると喜んでくれるかも。



 そんなことを思いつつ近くにいたターニャを、なんの気なしに鑑定してみると、



【ターニャLv1:神竜の加護を受けた未覚醒勇者。神獣との契約によって覚醒する。保有スキル、なし。加護:神竜グラシエスの加護(未発現)。体力8、魔力3、気力4、力6、知能5、器用さ6、素早さ9】



 ……。



 ホワイトさんに声をかけられて我に返る。



 鑑定結果を紙に書き写しホワイトさんに見せると急に雄たけびを上げはじめ、鑑定結果の紙を地面に置いて、土下座して拝みはじめた。



 当然みんなが注目する。



 マルゴが寄ってきてホワイトさんが拝む紙を拾い上げ目を通した後、血走った目を歌舞伎役者のような動作で俺に向ける。



 (怖いって)



 他のみんなもマルゴのもっている紙を読み、思い思いの反応を見せた。(ターニャを担ぎ上げる人、五体投地する人)




 まあ正直、勇者だの神獣だのは、よくよく考えれば俺にとってはどうでもいいことであって。



 アッシュはアッシュ、ターニャはターニャだからな。



 家族が何か特別な存在だと世間から言われたからといって、家族であることに変わりがないのと同じこと。



 俺的には戦闘力があるなら便利かも? くらいのもんであって、それ以上の意味はない。



 でも、そう思っているのは俺だけのようだった。

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