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魔竜晶には魔核を吸収させるのと同じ効果あるのは、ほぼ間違いないだろうとのこと。
今の所食べても問題なさそうだけど、一日で今回食べた量以上の魔竜晶は与えるなとのことだった。
ついでに魔竜晶を食べたと思われるアッシュを鑑定してみると、
【アッシュ(LV2、魂魄Lv2):アッシュウルフの子供。神獣フェンリルの血を半分引いており寿命が長い分、成長が著しく遅い。運命の導き手により勇者と契約することで、神獣本来の力に目覚めると伝えられている。保有スキル、ひっかくLv1、かみつくLv1、ほえるLv1、悪意感知Lv2。体力16、魔力11、気力14、力13、知能13、器用さ9、素早さ18】
やっぱりアッシュは可愛いなあ……、スキルが「ひっかく」「かみつく」「ほえる」だなんて……。
と、ステータスにまでにじみ出ているアッシュの可愛さに蕩けてる場合ではない。
レベルアップした鑑定様が今までにないサプライズな情報を提供してくれた。
魂魄Lv2はやっぱそうかという感じ。
悪意感知も、アッシュはこれまで悪意のある人間や殺気だったモンスターに敏感に反応してくれており、きっとこのスキルのおかげだろう。
理解が追い付かないのは神獣だの勇者だのの記述だ。
勇者って、国民的なRPGゲームやファンタジーとかで出てくる魔王と勇者の勇者のことか?
フェンリルって獣のめっちゃ強いやつって認識だけど、アッシュの母親がアッシュウルフなのは間違いないから、父ちゃんがフェンリルだということになりそう。
アッシュがフェンリルだとか勇者だとかの部分は言わない方がいいと思ったけど、彼は俺の部下で味方だ。
今後もホワイトさんの協力は不可欠なのだから、ここは打ち明けよう。
鑑定結果を見たホワイトさんは驚いたが、俺の胸元にある牙を見て妙に納得した様子だった。
魔王とか勇者がこの異世界にはいるのか? と質問したら、今から100年ほど前に一度樹木神ククノチの加護を受けた勇者が立ってからは、勇者も魔王も現れたという話は聞いたことがないそう。
今は世界的に戦争が頻発するような不安定な世の中だけど、魔王も勇者も現れてはいないとのこと。
なお、戦争があるというのはランカスタ王国も例外ではなく、北の国との小競り合いが続いているのだそうだ。
きな臭い世の中だ。
ホワイトさんは、
「意外と既にアッシュ君のパートナーである勇者様を見つけているかもしれませんよ?」
と冗談交じりの口調で(紙に書いて)言ってきたので、俺は「まさか、そんなことあるわけないですよ」とジェスチャーで苦笑いと一緒に返しておいたのだった。




